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通信
武蔵工業大学(現東京都市大学) 工学部 機械工学科
ソフトバンクモバイル株式会社 プロダクト・サービス本部 プロダクト統括部 商品企画部
大道 伸 (だいどう しん)氏

2009年02月東進タイムズ掲載

ユーザーに喜ばれる「おもしろいケータイ」を目指して

私は現在、ソフトバンクモバイル株式会社の商品企画部で、デザインマネジメントの仕事をしています。デザインマネジメントとは、例えば携帯電話端末を作っているメーカーから「こんな携帯電話はどうだろう」と提案いただいたアイディアを元に、デザインやカラーなどをさらに練り上げ、よりクオリティの高い端末を企画・開発する仕事です。また、他社とのコラボレーションの企画にも携わっています。

私が入社当時から常々思っていたのは、「ユーザーに喜ばれるおもしろいケータイを作りたい!」ということでした。20色もの豊富な色の中から選べる「PANTONER®ケータイ」(SoftBank 812SH)など、これまでさまざまな端末を企画してきましたが、やはり一番思い出深いのは、2007年12月に販売開始した特別モデル「シャア専用ケータイ」(913SH G TYPE-CHAR)ですね。

私は5歳のときからのガンダム※ファン。プラモデルやおもちゃなどのガンダム製品はたくさんありますが、やはり子ども向けの製品が多く、「大人の持ち物」というイメージではありませんでした。そこで、私たち大人のガンダムファンが手にしても遜色ない、高品質かつユニークなガンダム携帯を作りたいと考えたのが、シャア専用ケータイ誕生のきっかけです。

さっそく企画書を作り、社内のいろいろな人に話してみたのですが、前例のない製品なので、やはり最初は反対の声が多かったですね。コストの問題はもちろん、箱の大きさが通常の9倍にもなり、物流面での心配もありました。しかし次第に「おもしろい!」「僕もガンダム好きなんだよ」と声をかけてくれる人もでてきて、企画を後押ししてくれる人がどんどん増えていきました。

※『機動戦士ガンダム』1979年~1980年にかけて放映された日本のテレビアニメ。シリーズ化された劇場版や小説、漫画、ゲーム版は現在も製作されており、幅広い年齢層に支持されている。

スタッフ全員の思い入れが詰まった“シャア専用ケータイ”

そして最終的に社長(孫 正義氏)にプレゼンテーションをしたところ、「そんなに楽しそうにプレゼンするお前を見たのは初めてだ。おもしろそうだからやってみろ」と、笑ってOKを出してもらったんです。

問題は山積みでしたが、それが苦にならないくらいに、楽しみながら仕事ができました。一緒に仕事に取り組んだ玩具メーカーのバンダイや携帯端末メーカーのシャープの方も、「こんなにおもしろいもの作ったことがない!」と言いながら、自社のプライドをかけて製品づくりに打ち込んでくださいました。

そして完成したのは、シャアが劇中で搭乗したモビルスーツ(架空の兵器、人型をしたロボット)「ザクII」の頭部を12分の1のスケールでデザインした充電台と、細部のデザインまでこだわり抜いた端末。時報と連動させてモノアイ(目)が動く仕掛けなど、作り手の想いがこもったこれまでに無い製品になりました。商品発表会では大きく取り上げられ、ユーザーの方々からも大変大きな反響をいただき、喜びもひとしおでした。

私がこのプロジェクトを通じて学んだのは、「自分の企画のファンになってくれる人を身近に作ることが大切」ということ。一緒に製品を作る人たちが企画に惚れ込み、楽しんで仕事をしてくれれば、結果的にとても良いものが出来上がるんです。一方で、自分がつまらないと思うようなアイディアでは、やはりつまらないものができてしまう。それからは「魅力的な企画が人を惹きつけ、商品のクオリティを高める」をモットーに、日々企画を考えています。

「こんなもの作れない!」もの作りのプロに鍛えられた新人時代

高校時代から「ものづくりに携わりたい」と思い続けていた私は、大学卒業後に入社した会社で、その夢が叶いました。出社初日にしてプロジェクトを任され、介護施設用ロボットの外装パーツを設計する仕事に携わったのです。

小さなベンチャー企業だったので、設計以外にも取引先との交渉や製作現場での指示など、すべて一人で担当しなければなりませんでした。不慣れなため、現場の職人さんに自分の描いた設計図を説明してもうまく伝わらず、「こんなもの作れるか!」と設計図を破られたこともあります。何度も書き直して相手にわかるように説明をし、何とか製作までこぎつけることができました。

担当するプロジェクトが一つ、また一つと増えていき、10のプロジェクトを掛け持ちしていた時期もあります。入社間もない私には非常に大変な状況でしたが、今振り返ると、とても貴重な経験でした。また、当時は「筋が通らないことは絶対したくない」という意地があり、納得のいかないことがあると「どうして分かってくれないんだ!」と言い争いをしたものです。しかし、場を重ねるにつれて次第に相手の立場や言い分を理解できるようになり、うまく折り合いをつけて物事を進める手段を学べました。

その後に何度か転職を経験して、医療器具など企業向けの設計の仕事をしてきましたが、「直接お客様が使う製品に携わりたい」と思い、現在に至ります。今は設計はしていませんが、製品のコンセプトを考えるという、これまでとは違った視点からものづくりに携わることができています。

何かに真剣に打ち込む経験が「想像力」と「企画力」を育てる

自分がおもしろいと思うことを、いかに企画として実現させるか。そのために、常にいろいろな方面にアンテナを張って情報を集め、アイディアを練っています。また、小さな子どもや女性、高齢者の方々がどんな気持ちなのかを、彼らになりきって考えたり、グループインタビューを通じてヒアリングしてみたり…。ユーザーの意見を取り入れたうえで、改めて考え直すことも良い企画のために大切なプロセスです。

高校生の皆さんで、将来は企画開発職に就いてみたいという人は、遊びや趣味、もちろん勉強もそうですが、何かにとことん没頭してほしいですね。何か一つでも好きなことや興味のあることにはまり込んだ経験がある人は、その経験を元に、さまざまなことに自分を置き換えて考えることができるんです。

例えば私の場合、ガンダムがとても好きだという思いが製品作りにつながりました。そしてその熱意が自分の中にあるからこそ、ほかのテーマの製品を作るときも、何がいちばん大事なのか、ターゲットとする人たちが何を求めているのかを、とことんまで考え抜くようにしています。

携帯電話は今や、朝から晩まで一日中そばにある、私たちにとっていちばん身近な電子機器になりました。だからこそ、機能性のみを追求するのでなく、「笑い」や「楽しさ」などの感性的な喜びも与えられる、お客様の心を豊かにするような端末をこれからも企画していきたいと思います。

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。

	
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