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インテリアデザイナー
米国・サフォック大学 インテリアデザイン科
明豊ファシリティワークス株式会社 デザイン部 次長 デザインディレクター
小野 宗久 (おの むねひさ)氏

2007年10月東進タイムズ掲載

デザイン、コスト、企業理念   お客様の求めるイメージを空間に再現する

企業のトップとディスカッションしながらオフィスをデザイン

 インテリアデザイナーとして、主に企業のオフィスの内装をデザインする仕事をしています。建築士が建物そのものを設計するとの違い、インテリアデザイナーは設計された建物の骨組みに対して、天井や床、壁、装飾物といった肉づけをすることが仕事です。これまでに、十数人規模の事務所から、何千人もの社員が働くビル一棟まで、いろいろな規模のオフィスをデザインしてきました。

 仕事はまず、クライアント(お客様)となる企業の担当の方からオフィスの要望をヒアリングするところから始まります。「センスの良いオフィスで企業のブランド力を高めたい」「社員の働く環境を充実させて生産性を上げたい」「受付にエンターテイメント性を持たせたい」など、企業によって要望はさまざまです。コンサルタントと一緒に、データを分析したり要望をまとめたりしながらポイントを見極め、新しいオフィス環境を作るうえで核となるキーワードを探していきます。「その企業がオフィスに何を求めているのか」が明確にならないと、デザインに取り掛かることはできないのです。

 オフィスのコンセプトを決めるにあたり、必ず企業のトップの方とお会いして、企業の理念や目指している方向性を確認するようにしています。最近、弊社が担当して「日経ニューオフィス賞」を受賞した株式会社USENの新オフィスも、経営陣と何度も意見交換をしながらデザインを決めていきました。エントランスをホテルのロビーのようにして高級感を演出したり、社長室に内階段を設置し、下の階のオフィスと直結させて社員とのコミュニケーションを取りやすくしたり、400人が一堂に会せるカフェテリアを作ったりと、さまざまな工夫を凝らしました。そうした大胆なデザインも、企業トップの方から意見を直接聞くことで、実現することができました。

 インテリアデザイナーとアーティストの違いが、そこにあります。アーティストは自分が作りたいものを作って、評価してもらうという仕事ですが、僕たちの仕事は逆の要素が強いのです。オフィス作りは、すべての案件がクライアントの要望に沿ったカスタムメイド。壁面に使う素材からカーテンの色まで、一つとして同じオフィスはありません。完成してからお客様に「こんなはずじゃなかった」と言われては絶対いけません。ですから、お客様の要望を明確にしながら仕事を進めていくことがとても重要になります。

デザインには「遊び」も必要。見るだけでなく「なぜ」を考える

 ひと昔前まで日本の企業は、殺風景な空間に事務机を並べただけのオフィスが大半を占めていました。しかしご存知の通り、情報通信技術が目覚しく発展し、デジタル化に対応したオフィス環境をいかに効率良く構築し活用するかが、企業にとって重要な課題の一つであると認識されつつあります。これによって、働き方、オフィスの在り方が大きく変化したと思っています。

 社員にとってオフィスは“知的生産の場”であり、働きやすい環境であれば生産性も高まりますし、採用活動でも、魅力的なオフィスを持つ企業ほど優秀な人材が集まる傾向があります。外資系やIT関連といった、意識の高い企業以外もオフィス環境に気を遣う企業が増えていますね。

 経営者の方々の中には、建築やデザインに造詣が深い方も多くいらっしゃいます。そういう方はセンスの良いレストランや、ハイクラスのホテルなどにも通い慣れていますので、デザインを提案する我々も普段からセンスを磨いておく必要があります。海外の高級リゾートホテルのデザインを雑誌やインターネットで調べたり、レストランに入れば装飾物からトイレまでチェックしたり、新しく発売されるコンピュータやオーディオ機器など四六時中いろいろなものに目を向けるように心がけていますね。

 「良いデザイナーほど遊びの時間を大事にしている」と耳にしたこともありますが、街を歩く人の洋服の色の組み合わせなども参考になりますし、旅行をした際には、その風土にあった建築デザインについて考えたりもします。ありとあらゆることがデザインの参考になるんです。そしてただ見るだけでなくて、「なぜこういうデザインになったか」を考えることがとても大切です。インテリアデザインの仕事に興味のある高校生の方は、興味が赴くままでいいので、デザインに対して「なぜ」という疑問を持つことをお勧めします。

 また、デザイナーは絵を描きながら考えるのが仕事なので、とにかくたくさんスケッチをしておくと良いでしょう。人でも建築でも何でも構いませんので、とにかく描く。極端な例でいうと、普通の人が会議中に文字でメモをとる代わりに、デザイナーは絵を描くことで事象を明らかにしようとすることもあるくらいです。

夢は努力する力を生み、不安や困難を消し去る

 父が会社を経営していたこともあり、高校時代は何となく、大学で経営を学んで将来は会社を継ごうと思っていました。しかし、本気で「自分が何をやりたいのか」を真剣に考え直し、知人のインテリアデザイナーに仕事の話を聞いたことを思い出して興味を持ちました。もともと部屋の模様替えが好きでしたし、デザインにも興味がありました。そこで、どうせならさまざまな人種が暮らし、多くの価値観を育むアメリカで勉強しようと考え、ボストンの大学を受けてデザインを学びました。最初は慣れない気候や言語に、非常に苦労しましたね(笑)。

 しかし、高校時代に勉強しなかった分を取り戻そうと必死で取り組み、卒業してすぐに現地のデザイン事務所で七年程働きました。大学を卒業したのは27歳のときです。社会に出るまで普通の人より多少時間はかかりましたが、自分のやりたいことが見つかり、一所懸命に取り組んでいたので、不安や困難を感じたりということはありませんでした。

 振り返ってみると、自分のやりたいこと、好きなことを早く見つけることが大切だと思います。学生時代というのは、やりたいことを見つける期間でもあります。悩んで、失敗して壁にぶち当たってもいいので、ぜひ試行錯誤しながら考えて実行することをお勧めします。

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。

	
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