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編成部記者
成城大学 文芸学部
読売新聞東京本社 編集局編成部 記者
野村 幸江 (のむら ゆきえ)氏

2012年05月東進タイムズ掲載

新聞社には マニュアルのないやりがいがある

取材のイロハは実地で学べ 駆け出し時代に考えた名札作戦!

 全国紙の場合、新入社員は地方支局での記者からスタートするのがほとんどだ。今年で入社7年目を迎える野村幸江も、新人時代は水戸支局、常陸太田の通信部で記者経験を積んだ。「支局では地元の警察担当を2年間経験しました。どの新人も同じだと思いますが、まずは自分の名前を警察官の方々に覚えてもらうことからスタートしましたね」。警察担当の各紙記者は、女性も含めて数多く活躍している。その中で、わざわざ新米記者の名前を覚えてもらうには工夫が必要だ。そこで野村はある行動に出た。自分の名前を書いた名札を作り、スーツの胸ポケットにはさんで警察署の入り口に立ったのだ。そして、行き交う警察官に片端から「おはようございます!」と挨拶。しばらくして「名札の子だよね」と、声をかけてもらえるようになった。やがて名前も呼ばれるようになり、野村の「名札作戦」は見事に成功する。

 もちろん、記者の本分は事件を追うことにある。着任早々に起きた殺人事件。聞き込みを命じられた野村は、さっそく現場に急行した。だが、思うように証言が取れない。「現場周辺の方々にとって、事件の衝撃は大きいものです。だから無理に話を聞き出そうとしないで、まずは相手の気持ちに寄り添うことが大切なんだと実感しました」。聞き込みにマニュアルはなく、実地で経験を磨いていくしかない。「むしろ、マニュアルがないからこそやりがいもある」と野村は言う。

被害者の口から出た意外な言葉 人間の強さと絆を感じた一瞬

 「相手に寄り添う」ことで、事件の被害者から大きな励みをもらったこともある。通信部勤務時代に起きた通り魔殺人を取材したときのことである。現場は美容室。突然押し入ってきた犯人が、美容師と客を刃物で刺すという痛ましい事件だった。美容師は幸い一命を取りとめたものの、美容室に訪れていた女性客は亡くなってしまう。野村は、怪我をした美容師と、亡くなった女性の遺族のもとへ足を運んだ。だが、被害者の心の傷は深く、すぐに話を聞ける状態ではない。

 「とりわけ美容師さんは、お客さんが亡くなったことに強い自責の念を抱いていました。自分が殺されればよかったというほどに、自分を追い込んでいらしたのです」。以来、野村は美容師との対話を重ね、時間をかけてゆっくりと被害者の心に寄り添った。そうしていくうちに、やがて美容師も事件の詳細を語ってくれるようになった。そればかりではない。

 「同じ場所で美容室を再建しようと思っているのよと、私に打ち明けてくださったのです」。もし自分だったら、同じ場所で仕事を再開するのは怖い。思わず「どうしてそんなに強いのですか?」と言葉に出そうになった。常連客から店の再開を願う電話をもらい、女性の遺族も店の再開を応援してくれているのだと教えてもらった。野村は、美容師の決意に心動かされ、再建までの経緯を大きく記事にした。通り一遍の事件報道に留まらず、人と人との「絆」の強さにも光を当てたこの取材は、野村の心に今も鮮明に残っている。

取材記者から編成部へ 1000万人の読売読者を満足させる幅広い視点

 そして現在、野村は編成部という新しいフィールドで、忙しい毎日を送っている。異動からようやく一年。まだまだ勉強の毎日ではあるが、それでも自分ならではの視点から、紙面づくりを提案することもある。

 「例えば最近、東京ディズニーランドのシンデレラ城で結婚式ができるというニュースがありました。男性記者は750万円という費用に驚いているようでしたが、ファンだったら泣いて喜びます。だからもっと大きく取り上げましょう、と生意気にも言ってしまいました(笑)」

 そうは言っても、経験の浅い野村には、すべての作業を一人でこなすことはできない。野村のアイデアに共感した編成部員たちの協力があってこそだ。

 「男性部員も、大きくするんだったら手伝うよと言ってくれて、デスクにも素敵な見出しをつけていただきました。通常であれば、小さな扱いでしかなかったと思います。それが大きく変わったのは嬉しかった」。そうして出来あがった紙面は、中央に大きく写真を配し、さらに記事全体を枠で囲って、ひときわ目立つものとなった。ついた見出しは「私もシンデレラ婚」。男性目線とは一味違った紙面の完成である。

 「取材記者のときは、人との出会いが財産でした。編成部に来てからは、後世に残る新聞紙面の制作に自分が携わっていることに誇りを感じています」。編成という仕事の責任の重さを噛み締めつつ、野村はそう断言した。

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。

	
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