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スポーツ品メーカー
立命館大学 理工学部
ミズノ株式会社 スポーツ事業部マーケティング部 ダイヤモンドスポーツ用具企画課課長
寺下 正記 (てらした まさき)氏

2009年08月東進タイムズ掲載

自らボールを投げることで全てが動き出す

トップアスリートの満足が一般市場のヒットに繋がる

私の所属するスポーツ事業部マーケティング部の役割は、商品の企画開発からスタートして、販売促進、宣伝広告、そして店頭でどのように並べるかというところまでスポーツ品メーカーシリーズ【1】「スイム&フィットネス編」で内田が述べたことと大きな流れは同じです。

ただ、野球用品を扱うこの部署ならではの特徴として、自社工場の存在が挙げられます。弊社では、グラブやバット、ボールなどそれぞれの商品について自社工場を持っています。

ほかのスポーツ品もそうですが、その用具によって、いかにアスリートを勝利へと導いたかどうかが問われます。野球用品は、その特徴が顕著に現れます。どの時代も野球少年たちは、プロ野球選手に憧れて練習に励みます。そして、その選手が使用しているものと同じメーカーの、同じ用具を使いたいと感じるのは自然なことですよね。ですから、トップアスリートであるプロ野球選手に、いかに満足してもらえる商品を提供するかが重要になります。そのような商品を生み出すためには、選手との直接的なコミュニケーションを重ねて要望をくみ取り、自社工場で選手に納得してもらえるまで改良を重ねていくことが必要です。その過程を経ることで、トップアスリートの満足、ひいては一般市場のヒット商品を生み出すことになり、ビジネスの基盤を築くことができるのです。

既成概念を打ち破りトップブランドを海外生産

大学は理工学部の化学科に進み、就職先には化学メーカーなどを考えていました。化学という学問は、もの作りの原点ですから、将来は何かを自分の手で社会に生み出したいと思っていたんです。同級生も、オムロンやカネボウなどのメーカーに就職する人がやはり多かったですね。しかし私は、就職活動の際にミズノに就職した先輩の存在を知り、小学生の頃から続けてきた野球に携われるフィールドがあるとわかった瞬間、ミズノへの志望を決めました。

入社して最初の3年間はグラブや防具などの開発に携わり、その後マーケティング部で10年近くグラブの企画を担当しました。自分で考えた商品がカタログに載り、店頭に並んでお客様が購入するところを見たときは、「自分が作った商品を買ってくれている!」と感動しました。その満足感、楽しさに勝るものはありません。

思い出深い仕事の一つに、4Dテクノロジーを使ったグラブの企画開発があります。4年前のことです。不景気もあり、野球用品はなかなか価格を上げられません。しかしその状況でも、一企業としては画期的な新商品を生み出し、利益を上げることが求められます。

その一つの手段として、ミズノの野球用品の中で最高峰のブランド「ミズノプロ」を、上海の自社工場を使って生産したいと考え、思い切って社内で最初の一声を上げました。まず「ボールを投げる」こと。それを自分がしなければ、何も始まりませんから。

しかし当時は、「最も質の高い商品は、日本で作られるのが当たり前」という考えがあり、社内のプレゼンテーションでは「お前、何考えてんねん」と一蹴されました。そこで、周囲を納得させるために「セル生産方式」の採用を提案しました。それまで一般市場の商品は、パーツごとに工場内で流れ作業で生産する方法を取っていましたが、上海の工場では一人の職人が最初から最後まで一つのグラブを手がける「セル生産」にしよう、と。それまでプロ野球選手のグラブを作っていたのと同じ方法を、一般市場向けの商品でも行おうと思ったのです。それを上海で行えば、人件費を抑えながらも質の高さを追求できる。何度も会議を繰り返し最終的に「お前がそこまで考えてるんやったら、やれ」と言ってもらえました。そのクラフトマンシップ(職人技能)によるセル生産方式と、「最適剛性設計」というテクノロジーが融合して、高性能な新グラブができ上がったのです。

攻めと守りを教えて企画担当を一人前に

10年以上携わったグラブの担当を離れて、現在のポジションに就くときは、正直に言ってものすごく寂しさがありました。やはり、自分で考えてモノを作る楽しさに勝るものはないですから。ただ、このまま続けてはいけないと思っています。メインになる市場の対象は中高生。できるだけ市場と作り手の感覚が近いほうが、求められている商品を生み出すことに繋がるのです。

今は、グラブ、バット、スパイクなどの各商品企画の統括を担当しています。また、グラブやバットなど複数のアイテムを複合させてプロモーションを行う、いわゆるコーディネート役ですね。

さらに、各担当者を育てることも重要な役割です。企画担当者にとって、市場を見て、新しいものを次から次に考え出すということは“攻め”の仕事だと思います。ただ、考えるだけではダメで、自分の考えた商品をしかるべき方法で生み出し、店頭に並べて初めて意味を持ちます。その、しかるべき時期に適正な価格で生産して、売り場を見極めて店頭に並べるというのは、ある意味“守り”の仕事なんです。その守りの部分については、どうしても経験が必要になりますから、私がフォローできる部分はフォローします。まずは攻めを覚えて、それから守りの部分も徐々にカバーして、一人前に育てていきたいと考えています。

高校生の皆さんに一番伝えたいのは、両親への感謝を忘れないでほしいということですね。元気に学校へ行けるのも、志望校を目指して勉強できるのも、家族の支えがあってのことですから。そして、自分で、「できる」「できない」のフィルターをかけることなく、何にでもチャレンジしてほしいと思います。

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。
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