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広告会社
早稲田大学 第一文学部 哲学科
株式会社 電通 第2営業局 営業部 チーフ・アカウント・エグゼクティブ
柳川 道一 (やながわ みちかず)氏

2012年03月東進タイムズ掲載

損得を越えた発想が 社会をも動かす新しい広告をつくる!

企業の魅力を伝える仕事 広告会社営業の仕事とは?

 企業や商品のメッセージを私たちに的確に伝えてくれる広告。その広告を作りあげるためには、実に多くの人々が関わっている。全体を統括するディレクター、企画を立てるプランナー、コピーライターやアートディレクターなど、その職種は実にさまざまだ。その中で、広告主である企業との窓口となって活躍するのが、営業担当者である。

 「広告会社の営業の仕事は、企業が社会に発信したい思いに耳を傾けることから始まります」

 そう語るのは、電通第2営業局の柳川道一だ。入社9年目の〝電通マン"である。CM制作、あるいはインターネットや駅貼りポスターなどを使った広告の仕事も柳川が担当する仕事だ。

 では実際の広告制作の手順とはどのようなものなのだろうか。「通常は、企業からオリエンシートをいただくことが多いです。これは広告の展開時期や伝えたいことなどをまとめたものです」。その「オリエンシート」を基に、社内のスタッフを集めてミーティングを行う。企業の要望に応えるには、どのようなデータが必要か。有効なメディアは何か。どのような表現で、消費者に伝えるべきか。全体の方向性を皆で考え、それぞれの作業に入ることとなる。

 ここで重要なのは、チーム全員がしっかりと情報を共有することだと柳川は言う。「もちろん、ゴールは全員で共有しています。ですが作業を進めていくうちに、徐々にチーム内での認識がずれていくことがある。そうならないように細心の注意を払うのも私の仕事です」。もちろん、企業の声を正確に汲み取ることは当然だ。電話で通じにくい場合は、必ず担当者に会いに行く。わからないことを曖昧なままにしてはおかない。これも柳川の信条だ。「我々、営業担当が誤った認識をしてしまうと、チームもどんどん間違った方向へと進んでしまう。責任は重大です」

あわやページが真っ白に!? 先輩に救われた1年目の大失敗

 「絶対に確認を怠らない」――このことを痛感させられた苦い思い出が、柳川にはある。入社1年目に配属された雑誌局での出来事だ。雑誌局での仕事は、広告枠や企画のセールスはもちろん、企業の広告が各雑誌に確実に掲載されるように手配することである。当時、柳川が担当していたのは数十誌。それらすべての広告出稿のスケジュールを管理しなくてはならない。しかも、電通には「新入社員が必ず初めに電話を取る」という伝統がある。柳川も電話応対に追われる日々が続いていた。

 「集中して自分の仕事に取り組めるのは、ようやく夕方近くになってからという日がほとんどでした。1年目は仕事の優先順位をうまくつけることができなかったんですね」

 そんなときだった。担当しているある雑誌の広告スペースに、広告を出したいという企業が見つからない。定期発行される雑誌の場合、厳密な締め切りがある。締め切りに間に合わなければページは空白のまま。それだけは避けなければならない。

 ただ、柳川の頭の中には、付き合いがあり、広告を出してくれそうな企業が思い浮かんでいた。「多分、あの企業なら広告を出稿してくれるだろう」という思い込みがあった。そして日常の業務に追われて、柳川は担当営業者への確認を後回しにしてしまった。ほかの仕事に手間取っているうちに、気がつけば夜。先輩からの「手配できそうか?」という問いかけに、曖昧に返事をするしかなかった。

 そして翌日。見事に当てが外れた。期待した企業からの出稿は得られなかったのである。

 「もう真っ青になりました」。ことはすでに柳川一人の問題ではない。会社の信用にかかわる問題である。そのとき柳川を救ってくれたのは、同じ部署の先輩たちだった。トレーナー役の先輩を筆頭に、同僚たちが死に物狂いで自分のミスをカバーしてくれたのだ。柳川は自分の行いを恥じた。

 「その先輩からはそのとき、問題を先延ばしにしても何もいいことはないと言われました。この言葉は今もずっと噛みしめています」

思わず背中がぞくりとした瞬間 東進「高校生の君へ」制作秘話

 そんな柳川が、最近、最も印象に残った仕事を挙げてくれた。東進が昨年4月に出した「高校生の君へ」※という広告である。東日本大震災の直後に、日経新聞に掲載されたものだ。

 「東日本大震災が起きた際、東進を担当している当社のコピーライターが、このようなメッセージを世の中に伝えることができるのは東進しかないと直感しました」

 柳川は所属するチームのメンバーと共に、早速企画を携えて東進との打ち合わせに臨んだ。ただ、当時は自粛ムードが世間を覆っていた時期でもある。何を発信するにしても、どんな反応が返ってくるのか全く予測が立たない。「それだけに、東進の伝えたいメッセージと私たちの提案した企画の方向性が一致したときは嬉しかった。思わず背中がぞくりとしましたね」

 「ぞくり」としたのは、電通と東進の両者が、お互いの利益を超えたところで結びついた瞬間を目の当たりにしたからだ。両者には、互いに哲学を共有して、時間をかけて培った関係が築かれていた。だからこそ、実現できたのだと柳川は確信している。

 「東進の教育方針や哲学に共感して、我々は広告という手法でさまざまなサポートをしてきました。互いの気持ちを知る積み重ねが、方向性が一致した要因だと思います」

 入社して9年。柳川は多くの経験を通じて、「広告をつくる」だけが仕事ではないことを学んできた。自身が携わったイベントで、広告主が涙する姿を見たこともある。「何ものにも代え難いと思うのは、広告を通じてお客様に喜んでいただけることです。それが今の私の喜びにもなっています」。柳川はきっぱりとそう言い切る。

 企業と制作担当者を結びつけ、全体のディレクションを行う柳川ら営業の力があってこそ、私たちの元に多くのメッセージが届いているのである。

※「日経広告賞 コーポレートブランド広告賞」を受賞した東進の広告。(2011年4月1日、日本経済新聞掲載)。受賞作品の全文は東進のウェブサイトで読むことができます。

(文中敬称略)

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。
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