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新聞記者
青山学院大学 国際政治経済学部
読売新聞社 東京本社社会部次長
若江 雅子 (わかえ まさこ)氏

2012年04月東進タイムズ掲載

目で見て、直接話し、肌で感じる 真実への糸口は、現場に隠れている

世の中を動かすきっかけになる新聞記事

 社会部のデスクを務める若江雅子は、入社24年目のベテラン記者だ。「新聞記者にとって何より大事なのは現場」と、今も可能な限り取材に出る。

 ここ数年で担当した記事の中でも、子どもたちを取り囲むインターネット犯罪の現状を追った『親は知らない』という連載は大きな反響を呼んだ。警察関係者から「昔は一目で不良とわかる子どもが犯罪に手を染めていたが、最近は普通の子がケータイで突拍子もない犯罪に巻き込まれる」という話を聞いて関心を持ったのだ。携帯サイトによる援助交際の実態を調べ、児童ポルノをネットにばらまく犯罪者にも取材。その事実に驚愕した。

 連載が始まると、社会部にはメールや電話で「こんな事になっていたとは」と読者から驚きの声が多数寄せられた。また、この連載が発端となり、携帯ゲーム会社に警察当局から監視体制などの改善要請が行われ、自主的に監視体制を強化するようにもなった。

 「自分たちが書かなければ世に知られることがなかったことを報道する。それによって世の中が実際に動いていく。記者という仕事の醍醐味が、『親は知らない』の取材にはたくさん詰まっていました」と若江は語る。

繰り返し取材を重ねて ありのままを正しく伝えていく

 新聞記者の多くは、入社後すぐに地方支局に赴任を命じられるのが一般的だ。若江も読売新聞入社後に北海道支社に赴任して、4年間の記者生活を送る。地元警察を担当し、まさに「夜討ち朝駆け」の日々。「事件や事故があればすぐ現場に急行します。知的労働というよりもまさに肉体労働でした(笑)」。

 所轄で殺人事件が起これば、被害者の顔写真を手に入れるため被害者の家を訪ねる。悲しみにくれる遺族に「人でなし」と言われたこともあった。記者の仕事は時に、被害者の傷口を広げてしまうこともある。若江は、「この仕事に意味があるのだろうかと自問自答することが頻繁にありました」と当時を振り返る。

 そんな落ち込んでいる若江の姿を見て、先輩がこう声をかけてくれた。「被害者の写真があることで、読者は人となりを想像し、身近で起きている問題として感じられる。なぜその事件が発生したのか、何が問題なのかを考えるためにも被害者の写真は必要なんだ」と仕事の意義を切々と解いてくれた。そんな先輩や上司の温かい指導のもと、若江は新人時代の苦しいときを乗り越えていった。

 「新人記者は、基本的に最初に地方警察を担当します。それはきっと警察取材が記者の基本になるからだと思います。事件や事故には人間の悲しみやつらいことが凝縮しています。事件や事故にかかわる人たちの気持ちを感じたうえで取材するという姿勢は、記者にとって最も大切な考え方だと思っています」

 多くの取材経験を積み、デスクという立場になった今、部下の原稿を確認して指導することも毎日の仕事だ。原稿を読むときには、記者の思い込みや誤解がないかを入念にチェックする。「若手記者は、ときに取材対象への思い込みの強さから、事件を自分の都合で解釈してしまうことがあります。一人に取材しただけでは記事として成り立ちません。取材の量は足りているのか、事実の裏は取れているのか、その点に最も注意します」。

 そして、やはり現場に真実があると感じたのが、東日本大震災の取材だ。震災後、被災者たちが暮らす体育館を訪ねた。「事前の報道で大体の状況は掴んでいたつもりです。でも、行ってみてすぐに『体育館の床はこんなに固くて冷たいのか』と肌で感じました。若い女性と話していたときに唇が荒れているのを見て、化粧品もすべてなくなってしまったことを改めて知りました」。足を運ぶことで初めて感じる、改めて知るつらい現実があった。

 「つらい避難生活の中で、それでも明るく笑っている人たちの姿を見ていると、被災地に対する思いが変わってきました。抗えない天災を前に、悲しみ・不安・恐怖を感じながら、それでも生きていく人の姿をありのままに伝えていきたい。今は、そう考えています」。被災地での取材活動を通じて、若江は記者としてのこれからの決意をそう語った。

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。
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