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銀行 国際部門

みずほ銀行 国際営業部 国際アドバイザリーチーム 国際業務アドバイザー
金久 実央 (かねひさ みお)氏

2009年11月東進タイムズ掲載

「人脈」こそが一番の財産 人と人との絆を大切にしながら「日中の架け橋」を目指す

日本の優れた技術を世界へと導く

 私が所属する国際アドバイザリーチームは、日系企業のアジア進出支援を主な業務としています。海外進出前の事業価値の算定や拠点作り、工場の設立などを、アジア、とりわけ中国を中心に展開しています。まったくのゼロから手掛ける場合もありますし、すでにある程度の拠点を持っている企業であれば、事業再編のお手伝いもします。さらに拡大するということで現地企業と交渉してM&A*1を進めるといったケースもあります。

 近年は、停滞状況にある国内市場から、中国やアジア諸国に活路を求める日系企業が多くなっています。クライアントの多くは中堅企業なのですが、日本の企業は小さな町工場とはいえ、世界でも抜きん出た技術を持っています。しかし、いざ海外に進出しようと考えても、多くの企業はそのノウハウを持っていません。そうした企業に対して事業展開の提案をしたり、現地でのトータルサポートを行うのが私たちの仕事です。17名ほどのメンバーで、年間百数十件の案件をこなしています。私の担当は、そのなかの20件ほどになります。

 今、個人的に力を入れて取り組んでいるのは、知的財産権*2の問題です。これには、海外に進出した多くの企業が頭を悩ませています。プラダやルイ・ヴィトンの偽物が売られていたり、日本産の商品が中国で勝手に商標登録されて出回っていたり。数年前には、日本メーカーの模倣タイヤをつけたトラックが事故を起こし、4人が死亡するという痛ましい事件が起きました。その結果、驚くことに模倣された被害者である日本のタイヤメーカーが訴えられてしまったのです。まだ始めたばかりですが、知的財産権については今後もどんどん勉強して、実務で活用できるようにしたいですね。

 *1 企業の合併と買収という意味。Merger and Acquisitionの略。

 *2 人間の創作活動の結果生まれた無形の知的財産(発明や表現など)を保護するための権利。知的所有権ともいう。

中国へ目を向けるきっかけとなった交換留学生との出会い

 中国に興味を持つようになったのは高校生のとき。香港系華僑の交換留学生がクラスにやってきたのがきっかけです。当時は香港返還を数年後に控えていて、彼女は中国の将来や自分のアイデンティティについて真剣に考え、悩んでいました。その姿を通して、中国という国の複雑さと、そこで暮らす人々の多様なメンタリティ(心理状態)を垣間見た気がしたんです。そ れは一種のカルチャーショックでもあり、一方で「私は将来、何をしたいのだろう?」という問いを突きつけられるものでもありました。そこで、強く心を惹かれた中国について勉強してみようと思ったんです。

 ですから大学進学はもちろん、就職するときも「日中交流に貢献できる仕事は何か」を基準に考えましたね。大学時代にボランティアで中国の方に日本語を教えていたのですが、彼らは日本のファッションにすごく興味を持っている。とりわけ人気の高かったのがデパートの丸井で、ちょうど丸井も中国展開を考えていた時期だったということもあって入社に至りました。

 丸井での最初の配属先は渋谷店でした。そこは中国から来たお客様がとても多く、販売に必要な衣服に関する生きた中国語は彼らから教えてもらいましたね。実際に、言葉を覚えれば覚 えるほど売上も伸びていくんです。その後、「日中交流の架け橋となりたい」という私の夢を知った上司が、同じく中国からのお客様の多かった新宿店のフロア管理を任せてくださったんです。責任は重大ですが、結果を出せば夢に近づける大きなチャンスです。プレッシャーはありましたが幸いにも新宿での仕事を評価され、2002年から1年間、上海の大学に語学 留学することになりました

夢を諦めなかったからこそ、 思い描いていた以上の場所に立つことができた

 帰国後は丸井を離れ、フェリス女学院大学の大学院に入学しましたが、それまでの経験で学んだことは今でもとても役に立っています。とりわけ教え込まれたのが「人脈を大切にする」「人を大事に思う」「人と交流することを怖がらない」ということです。お客様はもちろん、上司や同僚など、自分の周りにいる人を大切にして、関係を保つ。三カ月に一度は、これまでお世話になった方に手紙やメールを書くように心掛けています。人と人とのつながりって、こうしたささいなことの積み重ねで強くなっていくんです。

 私がみずほ銀行に入行して、まだ1年半余り。アドバイザリーとしての経験は浅いです。けれども、お客様との仕事上で何か必要が生じたときには、これまで関係を築いてきた方々―丸井時代のお客様から、または大学院時代のアルバイトでお世話になった官僚や政治家の方々、転職後の仕事で出会ったあらゆるジャンルのジャーナリストまで―に、力を貸してもらうことができるのです。

 とはいえ、人脈作りに関しては見返りを求めているわけではありません。お世話になった方が困っているときに、力になるのは自然なこと。相手の立場に立って、自分がしたいと思うことをやってあげればいい。そうすると自分が困ったときに、思わぬところから手を差しのべてもらえたりするんです。人と人は、どこでつながっているかわからない。くだらない計算を持ち込んでは、良い人間関係は築けません。

 東進タイムズ読者である高校生にも、今、自分の周りにいてくれる人たちを大切にしてほしいと思います。その上で、将来どんな人間になりたいか、5年、10年後の自分のイメージをしっかりと持ってほしい。もし私が自分で自分を評価できることがあるとすれば、夢を追い続けることを諦めなかったことです。気がつけば今は、自分で思い描いていた夢の終着点以上のところにいるとさえ思っています。この仕事で実現したい夢はまだ未知数ですが、ここまでたどり着けたのは、たくさんの方々に助けていただいたからこそ。私にとってはやはり、「人との絆」が一番の財産なんです。

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。

	
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