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総合住宅メーカー
日本大学 生産工学部 建築工学科
大和ハウス工業株式会社 東京本店 建築事業部 工事部 工事課 二級建築施工管理技士(建築)
薄波 秋帆 (うすなみ あきほ)氏

2015年07月東進タイムズ掲載

迅速、正確、安全な仕事で信頼されるプロフェッショナルに!

初めての仕事は東京ドームよりも大きい倉庫一つの建築物が完成するまでには、実に多くの職種の人たちが関わっている。その中で、「建築施工管理技士」という資格を知っているだろうか。もしかしたら、建築士との違いがわからない人がいるかもしれない。建築施工管理技士は、屋根、塗装、内装仕上げ、配管など「施工」に関するすべての業務を管理・統括する。建築士が「設計」のプロフェッショナルなら、建築施工管理技士は「工事」のプロフェッショナルと言えるだろう。「今日はスーツを着ていますが、普段は作業服にヘルメット姿です」と話すのは、大和ハウス工業株式会社入社3年目の薄波秋帆。薄波も二級建築施工管理技士( 建築)の資格を持つ、工事のプロフェッショナルだ。初めて施工に関わった物件は、日本を代表する企業の物流倉庫だった。約7万8000㎡の物件。東京ドームの建築面積が4万6755㎡というから、どれだけ大規模な建築かが推測される。薄波の担当は地上6階の建物のうちの、トラックが上り下りする「ランプ棟」と呼ばれる部分。主な業務は、別の部署から上がってきた設計図と構造図をもとに施工図および工程表を作成し、各業者に手配し、進捗状況をチェックすること。「すべてがわからない尽くしでした。上司や職人さんにゼロから質問を重ねて、フォローしてもらいながら、その日のスケジュールをやっと終える毎日でした」螺旋を水平に保つには?脳内を3Dにして大奮闘!とりわけ薄波を悩ませたのが「螺旋」の形状だった。建築を水平に保つには「レベル管理」をしなければならないが、ランプ棟はちょっと場所が離れただけで高さが変わる。どこを基準にしていいかさっぱりわからない。「上司にポイントごとの柱を目印にレベルを管理する方法を教えてもらい、乗りきりました。現場では頭の中を3Dにし、フル回転でした」失敗は数え切れない。やるべき工程を抜かして次の作業に進めてしまったこともある。「なぜ、もっと早く言わないのか」と職人さんに何度怒られたかわからない。それでも百戦錬磨のプロ集団。二度手間になっても最後はしっかり帳尻を合わせてくれた。次から次へとやるべき仕事がいっぱいで落ち込む暇もなかった。薄波は前日に何があっても、朝になると笑顔で現場へ向かった。上司や先輩が見守ってくれているという安心感もあった。規模が大きすぎて「正直、本当に工事が進んでいるのか実感できなかった」という薄波。あるとき上司の車に乗って、建設現場の全体像を見る機会があったという。「思っていた以上に形になっていて驚きました。感動のあまり、〝こんなにできている!〞って声をあげたほどです(笑)」2015年3月31日、物流倉庫は無事に完成し、依頼主に引き渡すことができた。模型に感動して建築分野へモノづくりの喜びに開眼薄波が建築分野に進んだのは、母校である日本大学のオープンキャンパスへの参加がきっかけだった。展示してあった住宅の模型を見て、心が躍ったという。「当時はいろいろな方面に興味があり、進む道が定まっていませんでした。それが住宅模型を一目見て〝これだ〞と直感したんです。自分の手で作れたらどんなに楽しいだろうって思ったんです」そして、日本大学建築工学科・居住空間デザインコースへ進学。大学では建築の基礎知識をひととおり勉強すると同時に、与えられた課題に応じて設計図を描き、模型をつくる練習を積んだ。特に印象に残っているのは大学一年のグループ製作。「商業施設」という課題で「ガールズ・ファクトリー」という名称の建築模型をつくった。「化粧品・ネイル・服のショップ、美容院、ファッションショーなど綺麗になるための施設が集まっているビルです。そこへ行ったら〝完ぺきなガール〞になって出てくるというのがコンセプト。女性5人のグループだったので、自分たちが本当に形にしたい施設をつくろうという意気込みで取り組みました」「自分の発想を表現したいというより、図面が形になっていく過程に関わるのが好きなんです。私にとっては物流倉庫もガールズ・ファクトリーも完成したときのわくわくする気持ちに変わりはありません。」そして現在取り組んでいるのが、2016年のリオオリンピックに向けた施設だ。トップスイマーたちが練習を重ねる地下2階、地上4階建ての選手強化プールで、競技本番で使われるプールと同様の水深3m、長さ50mのオリンピック仕様だ。実は、これまで国内でオリンピック基準を満たすプールはほとんどなく、それゆえ競泳選手たちは、本番と異なる環境で練習を行ってきた経緯がある。そこで、入江陵介選手も所属するイトマンスイミングスクールが建設に乗り出したのが、今回の強化プールなのだ。最初に設計図を見たときの薄波の感想は、「これまでのスポーツ施設のイメージを覆す、お洒落な印象」であった。薄波自身、幼少期にスイミングスクールに通っていた経験があり、プール建設への思い入れも強い。「プールの一部がガラス張りになっていて、泳ぎのフォームを観察できたり、解析システムが併設されたりしています。まさにオリンピックを目指すトップスイマーのための施設といえます」現在は基礎工事の段階。言うまでもなく、建物を支え安定させる土台づくりであり、最重要工程の一つだ。建築は土地環境や建物の形状など一つひとつ異なる。今回もまた初めての体験ばかりだろう。周囲の人たちに教えを仰ぎつつ進める「勉強の日々」に変わりはないが、オリンピックに関連する施設を手掛けられることに、大きな期待を抱いているという。来年には、一級建築施工管理技士の受験資格である「実務3年以上」という条件をクリアする。技術のレベルアップをはかり、「一日も早く信頼されるプロフェッショナルになりたい」と目を輝かす。

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。
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