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ホテル
立教大学 社会学部 観光学科(現・観光学部)
株式会社 京王プラザホテル 総支配人室長
小林 正裕 (こばやし まさやす)氏

2007年04月東進タイムズ掲載

お客様も従業員も、このホテルで過ごすすべての人が快適に過ごせるように

華やかなホテルの舞台を支える、縁の下の力持ち

 私は現在、ホテル内の総支配人室長を務めています。ここでは、広報やイベント企画から営業(宿泊、料飲、宴会)まで統括することが仕事ですね。直接お客様にサービスを提供することはめったにありませんが、ホテルで今何が行われているかはすべて把握しています。毎朝15分の会議では、例えば今日は△時からどのような宴会があって、どのようなお客様がいらっしゃるか、その日一日お客様をお迎えするためにスタッフが知っておかなければいけない情報を共有しておくんです。

 そのほか、大きなイベントがあると陣頭指揮を取ります。例えば今年2月に行われた“東京マラソン2007”でのことです。スタートはホテルのすぐ近くにある東京都庁、3万人の走者と応援に来られる方はおよそ2万人。これだけの人数がホテルの前を通る場合、出入り口がふさがれてしまい、混乱が起きる可能性がありました。そこで、前もって誘導スタッフの配置を考え、臨機応変な対応ができるように指揮をとったんです。当日は、冷たい雨が降っていたこともあり、予想以上に大勢の応援の方が雨宿りにホテルにいらっしゃいました。しかし、臨機応変に人数を調整したことでトラブルを防ぐことができました。このときは、ホッとしましたよ。

一日15㎞歩き回ったウェイター時代

 今でこそお客様に接する機会は少ないのですが、入社したての頃はレストランのウェイターからスタートしました。当時は珍しかった24時間営業のコーヒーハウスだったので、特に大晦日からの3日間は、お客様の列が途切れることがないほどお店は混みあっていました。この店舗だけで年間10億円くらい売り上げがあり、これは、単一の店舗としてはラスベガスのある店舗に次いで世界2位だったんです。

 そこで毎日のように、接客のために一日10~15㎞くらい店内を歩き回っていたので、靴なんて2カ月で穴が開いて履けなくなってしまうほどでしたね。しかも当時の厨房の料理人たちは体育会系気質でしたから、注文を間違えるなど失敗をすれば、厨房で容赦なく怒鳴られました(笑)。

 でも、ここでの経験があったからこそ、今こうして共に働く従業員の気持ちがわかり、指示ができるというわけです。いろいろな施策を判断するための材料として、自分の経験が役立っていると思います。

 そして忘れられないのが、コーヒーハウスに配属されたばかりの頃のあるお客様との出会い。当時からロングステイで泊まっている外国からのお客様が多いのですが、その中のお一人、Mr.Wという方がいて、毎日そのコーヒーハウスにいらっしゃるんです。私の名前をすぐに覚えていただいて、「君は新人か? 手が震えているけれど大丈夫か?」と緊張する私を気遣ってくれたんです。このときに、こちらから一方的にサービスを提供することよりも、それに対してお客様から反応が返ってくることのおもしろさに気がついたんです。

楽しまなければ仕事はできない

 ホテルの仕事は華やかにみえる反面、もちろんつらい局面にぶつかることもあります。しかし、仕事とは人生の3分の1の時間を占めるもの。楽しめるものなら楽しんだほうがいいんです。私自身、楽しむという気持ちを優先していますし、スタッフにも楽しんで仕事をしてもらいたいと思っています。ですから、スタッフに楽しんで仕事をしてもらえるような環境を作るのが、マネジメントの立場としての私の仕事であると考えます。何かに行き詰まっているようであれば話を聞き、力を貸す。どんなに努力しても、現実問題として一人の力ではどうにもならないこともありますから、そんなときは共に考え、解決法を見つけていきます。

 ホテルの仕事で一番求められるのは想像力ではないかと思います。こんな商品を売ったらどんな人が買うのか、逆にこんな人に来てもらうにはどうしたらいいのか。ホテルとして、単純に売り上げを上げるためだけなら、部屋数や席数を増やせばいい。でも、そうではありません。なぜ、1杯900円というお金をかけて、コーヒーを飲みに来てくれるのか。「ホテル」という非日常の空間を楽しむために、お客様はやってくるのだと思っています。想像力を要することはいくらでもあります。

 そして欠かせないのが体力と精神的な明るさです。24時間営業しているこのホテルという空間で、いつ何が起きるかはわからない。ですから、常に頭をクリアにしてどんなことにも対応できるようにしておかなければいけません。サービスを提供してお客様に満足していただけるのも、いい笑顔と技術があってのことですから。そして、サービスする中で自分が楽しめる瞬間を見つけ出すことです。私の場合は、名前を覚えてもらうことですね。私が香港赴任を経てフロントに戻ってきた際、レストラン勤務時代の常連さんが、「小林さん、香港から帰ってきたんですね」と声をかけてくださったときはすごく嬉しかったですね。ホテルパーソンは、そんなお客様とのふれあいの中に幸せを見出している人が多いのではないでしょうか。

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。
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