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公認会計士
埼玉大学 経済学部
新日本監査法人 公認会計士
鈴木 克子 (すずき かつこ)氏

2006年05月東進タイムズ掲載

企業活動について、会計のエキスパートの立場から正確に、そして公平に判断を下すことが私たちの役割です

数学や経済が苦手だからこそ、あえて公認会計士になることを決意!

 公認会計士という職業は、高校生の皆さんにはなじみの薄い存在だと思います。実は私も、高校2年生のときに「公認会計士になろう」と決意したものの、具体的な仕事内容はほとんど知りませんでした。

 でも公認会計士は、数学も政治経済も苦手だった当時の私にとって、それらの専門知識を武器に颯爽と活躍するイメージがあり、憧れの存在でした。それに、経済に強い人は世の中のシステムをよくわかっていそうで、なんとなくカッコいいなぁと思っていたんです(笑)。

 「私も頑張って勉強すれば、公認会計士になれるかもしれない」と、経済学部に進学。大学1~2年の間はひたすらアルバイトをして、公認会計士試験の予備校に通うお金を稼ぎました。そして大学3年からダブルスクールをして試験勉強を始めたのですが、「こんなに難しかったのか!」とびっくり。私が受験した当時、大学で所定の一般教養課程の単位を取得すると、自動的に一次試験をパスできたのですが、二次試験※1は合格率7~8%前後という超難関。試験は、もちろん内容も難しいのですが、とにかく範囲が広いんです。あまりの難しさに、途中で挫折する人もすごく多いのですが、私は高校時代からの憧れと、この道でやっていこうという強い決意があったから何とか続けられたのだと思います。

 3年間の受験勉強を経て、大学を卒業した翌年に二次試験に合格。受かったときは「これでやっと働ける!」とほっとしました。

監査業務は、公認会計士のみができる大切な仕事

 さて、私たち公認会計士の仕事は、主に上場企業※2の“会計監査業務”を行うことが中心になります。

 会計監査とは、企業が作成している財務諸表※3が、ちゃんと「企業会計原則」などをはじめとする、さまざまな会計ルールに従って作成されているかどうかをチェックして保証すること。公認会計士が公平な立場から「この企業は正しい業績を報告しています」と意見を表明することで、上場企業は社会的な信用を獲得し、上場を維持することができます。この会計監査業務は、公認会計士だけに認められている責任ある仕事。経済活動において、大変重要な役割を果たしています。

 私の所属している監査法人では、4~5人でチームを組み、年間延べ数ヶ月、その企業の会議室を借りきって監査業務を行います。財務諸表の数字が正しいかどうかを、帳簿や証憑(領収書や請求書)、重要書類などの資料をもとに一つずつ確認していきます。とても地道な作業ですが、企業の信頼にかかわる問題なので、決して気を抜くことはできません。毎日、夜遅くまでチェック作業をすることもあります。

 とはいえ、監査業務は「黙々と書類をチェックするだけの作業」ではありません。例えば疑問に思うような取引があった場合は、その都度企業の担当の方に確認して、不透明な部分を明確にしないといけません。たとえ相手と考え方が対立する場合でも、しっかり議論して問題を解決する必要があります。

トイレでため息ばかりついていた新人時代……

 実は、監査法人に就職したばかりの頃の私は、「理論と実務は違う」ということを思い知らされる毎日でした。専門書で習った内容と実際の現場で使われている内容が微妙に違うことに戸惑い、担当の方にどうお願いすれば自分の知りたい情報が引き出せるのかわからなくなったこともあります。上司も多忙なのでなかなか質問できず、トイレにこもって鏡の前でため息をついてばかりいました。仕事にようやく慣れたのは、仕事を始めて2年が経った頃でした。

 でもそうした経験を積み重ねていくうちに、生きた経済の仕組みや、この業界に入る前は知らなかったいろいろなことを覚えることができました。

 例えば、一般の人は普通預金、定期預金は知っていても、「当座預金」という言葉にはなかなか縁がないと思います。当座預金とは、企業などが手形や小切手の支払いを決済するための預金のことなのですが、私自身、もし普通に生活していたら“当座”という言葉自体知らなかっただろうと思います。それが今では、当座勘定照合表※4を見て、企業のお金の流れを把握するなど、仕事をするうえでとても身近な存在になりました。

 高校時代あんなに経済に疎かった私が、今こうして経済の世界に携わっていることを、とても嬉しく思っています。

公認会計士志望の人、お待ちしています!

 公認会計士に求められる力は、知識はもちろんですが、何といっても忍耐力、根性、コミュニケーション能力だと思います。ずっと数字とにらめっこするのは辛抱がいることですし、いろいろな企業の方にお会いするので、初対面の相手にも自分の意図を正しく伝えて、相手から必要な情報を引き出すという力が求められます。

 また、監査業務には「連結監査」というものがあり、全国各地のグループ企業や海外子会社に出張監査することも多いので、フットワークの軽さや体力も大切です。実は以前、出張中に疲れがピークに達したのか、出張先のホテルで倒れてしまったことがあります。健康管理が大事だと身に染みてわかり、それからは人一倍気をつけるようになりました。

 公認会計士を目指している高校生の皆さんは、ぜひ今から新聞や本をたくさん読んで、経済の流れや社会の動きに敏感になってください。将来、きっと役立つはずです。

 公認会計士は社会的にとても需要が高まっている職業なのですが、試験の難しさもあり、残念ながら現状では人数が絶対的に不足している状況です。将来皆さんと一緒に働けることを、今から楽しみにしています!

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。
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