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旅行会社
専修大学 経済学部 国際経済学科
京王観光株式会社 東京教育旅行支店 国際交流チーム
渡邊 憲隆 (わたなべ のりたか)氏

2007年06月東進タイムズ掲載

旅のトータルプランナーとして、 既存の価値観にとらわれないサービスを提供したい

華やかな世界を支える見えない努力

 旅行業界の仕事というと、海外や国内を飛び回ってお客様の旅行をご案内する華やかな職業と思われるかもしれません。実際に私どもの会社でも、担当するセクションによっては年間60~100日ほどお客様の旅行に添乗しています。当然のことですが、添乗しているときは観光をしているという感覚は全くありません(笑)。旅行中は、事故やトラブルなど何が起こるかわかりませんし、お客様が安全に旅行を楽しんでいただけるよう細部にわたり気を配りますので、添乗中は一瞬たりとも気が抜けません。

 現在私は、小学校や中学・高校・大学などの教育機関を対象とした「教育旅行」のセクションに所属し、10数校の大学を担当しています。「教育旅行」とは、皆さんもきっと経験のある遠足や修学旅行のほか、語学研修や合宿などを指します。

 大学の教育旅行の場合、先生方の出張や海外から多くの研究者が集まる国際学会、長期・短期の語学研修など、さまざまな旅行・宿泊の需要があります。また最近では、新入生に対する入学前のカリキュラム説明などのオリエンテーションを、合宿形式で行う大学も増えていますので、企画段階から参加させていただくこともしばしばです。お客様のご要望をどのように商品に反映するか、旅行の行程をスムーズにするためにはどのように工夫できるのか、どうしたらお客様に満足していただけるのかを常に考えていますね。

スイスで120名の太鼓演奏

 昨年までは本社の企画営業部に所属し、SIT(スペシャル・インタレスト・ツアー)という部門で、海外旅行の企画から添乗まで担当していました。SITとは、普通の周遊旅行という枠を超え、旅行者の特定の目的に沿った内容のツアーなんです。例えば、高名なソムリエの方と行くフランス・ワインツアーや、テレビ東京で放映している「開運! なんでも鑑定団」で鑑定士としてご出演なさっていた岩崎紘昌先生と行く、ニューヨーク・アンティークツアーなどを企画しました。

 特に思い出深いのは、「京王ジャパン・デイ・海外公演の旅」という異文化交流ツアーです。1999年にスタートしたこの企画は、毎年春に世界の国々で日本の伝統芸能や文化を紹介し、現地の方々との交流を目的としています。

 私が担当した年は、日本の太鼓や伝統舞踊団体の約120名の方々をスイスにお連れして、国際交流イベントを開催しました。参加者である団体のメンバーは小学生のお子さんから80歳の男性まで年齢層もたいへん幅広く、また何十張もの太鼓や琴をヨーロッパの現地まで運びこんでのイベントですので、一年以上かけて入念に計画や準備を進めました。

 公演はスイスの大学の講堂を借りて行いました。あらかじめ地元の人や、大学の関係者に告知しておいて集客をはかり、前日は街中で太鼓を叩いて練り歩き、参加者全員でイベントの告知を行いました。その甲斐あって会場は満員、その珍しさと盛況ぶりが現地の新聞やテレビにも紹介されました。さらにこの企画の肝である文化交流については、会場の来賓にソーラン節の踊りや太鼓の演奏体験をしてもらい、向こうからはスイスの伝統音楽の紹介としてホルンを演奏してもらいました。気持ちよく演奏や踊りを披露することができて満足そうなお客様の笑顔を見て、それまでの準備や行程管理の疲れが一気に吹き飛んだ瞬間でしたね。

思いがけない「リムジン」に感激

 そもそも私が旅行業界を目指したのは、大学2年生のときに参加したアメリカ語学研修がきっかけでした。ロサンゼルスでの自由時間に研修の仲間たちを誘い、思い出作りも兼ねて市内にある有名なカフェに夕食を取りに行くことにしたのです。そこまでの行き方がわからなかったので、担当の添乗員に「タクシーをお願いします」と頼みました。するとその添乗員は、「その人数だったら、タクシーよりも・・・・・・」と立派なリムジンをチャーターしてくれたのです。リムジンだなんて、日本で利用するとしたら現在でも1、2時間で3万円くらい費用がかかるものです。もちろん普通の大学生であれば手が届くはずはありません。瞬時に人数と予算を考慮し、何より旅の思い出になるだろうと考えてくれたのですね。初めてリムジンに乗ったあの興奮は、今でもよく覚えています。

 実はそのときの担当添乗員が、京王観光の社員だったんです。そうしたサービスの一つひとつがとても素晴らしくて、非常に感銘を受けました。「旅行会社の仕事は、人にサービスをして喜んでもらうことなんだ」と、そのときに感じました。高校生の頃から「世界を見ながら、狭い価値感にとらわれない仕事に就きたい」と考えていたこともあり、英語も好きだったので自然と旅行会社が就職先として浮かんできました。

この仕事に必要なのは「おもてなしの心」

 特に「海外旅行が初めて」というお客様は、添乗員を頼りにしてくださいます。例えばフライト中に気分が悪くなられた方のケアや、飲み物・食事の手配には気を配ります。宿泊先のホテルに無事到着したら、まずお客様の部屋をまわって、何か不便なことがないかお声かけをします。それから必ず、自分の部屋には戻らずロビーで1時間ほど待機するんです。すると、「渡邊さん、カーテンが閉まらないんだけど・・・・・・」「シャワーのお湯の出が悪いので、ちょっと確認しにきてください」といったさまざまなご相談をいただきます。そうしたご相談やご要望を解決していく中で、お客様との信頼関係を築くことができるんです。

 そして何よりも嬉しいのは、旅行が終わって満足していただいたお客様の笑顔と「ありがとう」という一言ですね。この言葉で、どんな苦労もすべて報われます。

 この仕事に大切なのは、何よりホスピタリティ(おもてなしの心)だと思うんです。旅に関する知識はもちろんですが、「お客様の喜ぶサービスを提供したい」という志を持っているかどうかが大切だと思います。お客様の要望をどれだけ正確に汲み取って、それを反映することができるか。既存のサービスにとらわれず、お客様の新しいニーズを引き出してこれまでにない最良のサービスを作り出していくことを今後の目標と考えています。

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。

	
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