全国172の大学情報を掲載!志望校選びに役立つ情報・卒業生や現役大学生の“ナマの声”満載!

広告会社
東京大学経済学部
株式会社 電通 第2営業局 営業部 主務
廣重 博信 (ひろしげ ひろのぶ)氏

2007年07月東進タイムズ掲載

価値創造プランナーとして、 クライアントや生活者のパートナーを目指す

最も効果のある広告の戦略を練る司令塔

 高校生の皆さんの中には、「広告会社」と聞くと広告を制作するデザイナーやコピーライターなど、クリエイティブな職種をまず思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。もちろんそれも正解ですが、私たちの主な仕事は、広告を作りたい企業(広告主)とテレビ局や新聞社など広告を載せるメディアを持った企業(媒体社)の間に立ち、広告を世の中に発信することです。具体的には、広告主と媒体社の間に入る営業職や、広告を行うための基本戦略を立てるマーケティング職、広告を制作するクリエイティブ職など多くの職種が携わります。

 現在私は営業部に所属し、ファッション、映画、食品などさまざまな分野の企業を担当しています。それらの企業の経営者や宣伝担当者と打ち合わせを重ね、要望を具体的なアイデアに落とし込んで広告宣伝の企画立案をし、提案するのが主な仕事です。その企画が採用されたあとは、実際に広告を制作するコピーライターやデザイナーに広告主の要望を的確に伝えたり、プロモーションのためのイベントを行ったりと、一つの広告に関わる人々の間に立って最適な結果が出るように戦略を組み立てます。いわば、司令塔のような役割といえるかもしれませんね。

 広告に興味を持ったきっかけは、私が中学生だった頃にコピーライターの糸井重里氏が書いた西武百貨店の「おいしい生活。」というキャッチコピーです。また高校生の頃に筑波で開催されていた、科学技術博覧会(つくば万博)も大きなきっかけでした。この大掛かりなイベントを広告会社が取り仕切っていたと知り、「表舞台で活躍する仕事ではないけれど、みんなが喜ぶこのイベントを支えているんだ」と感じ、ワクワクしました。

それまでの価値観を覆す、南米で学んだ考え方

 広告の仕事に限ったことではありませんが、仕事の現場では予期せぬことが起こるものです。一年間ほどブラジルに駐在し、現地に広告会社を作って南米の地域を対象に業務を行いました。そこでの仕事は、それまでの物事に対する私の考え方を覆すできごとの連続でした。

 「何かアクシデントが起きたらどうしよう」と、眉間に皺を寄せて対策をいくつも立てる日本人とは違い、南米のスタッフたちは「何かが起きたら、そこから考えれば良い」というスタンスで仕事に取り組むのです。例えばCM撮影のときのこと。前日まで雲一つない晴天が続いていたのに、当日は突然の大雨で、もちろろん撮影は中止です。日本では屋外でCM撮影をする場合、そういった天候不良に備えて必ず撮影予備日というものを予定に組んでおきます。ですから「雨が降ることくらい予測して対策を立てなければならない」と思うのが普通です。

 ところが現地のスタッフは「Mr.ヒロシゲ、何を言っているんだ。そんなことは、当日雨が降ってから考えればいいじゃないか」と不思議そうに言うのです。さらに、こんなこともありました。街中のレストランの前でCM撮影を行うことになり、当日現場へ向かうと、何と店の目の前で工事が行われているのです。「撮影の予定を組む時点で、工事があることくらいわかっていたはずなのに」と現場責任者に問うと、「そう言っても、今は実際に工事をしているんだから仕方がないだろう? 方法を考えよう」と悪びれずに答えました。しかし、一年間そんなやりとりを重ねて現地で仕事をしていると、「何かが起きたらどうするか?」ということも大切だけれど「何かが起きたときに代替案を考えられる」ことも同じくらい大事ではないかと思えるようになったんです。

広告に「正解」はない

 広告の仕事は「こうすれば必ずうまくいく」という正解があるわけでも、「こうでなければならない」というルールがあるわけでもありません。この仕事のやりがいとおもしろさは、「誰かの喜びを生み出し、社会に貢献できる」ところにあります。そのうえ、お給料までいただける(笑)。世の中に大きな話題を提供できて、クライアントも、広告を見て商品を買ってくれた消費者も喜んでくれるものが作れたら、最高にうれしいですね。

 大勢の人が関わる仕事の中心的役割ですので、関わるすべての人々の関係を舵取りする調整力と、力強く物事を進める推進力が必須です。さらに一番大切なのは、「相手の立場に立ってものを考えられること」だと思います。同じ商品でも、クライアントの立場で見るのと、実際に購入する生活者の立場で見るのでは、見え方が違います。クライアントが「こんなに素晴らしい商品です」といくら主張しても、生活者からすればいくつもある商品のうちの一つかもしれません。売る側と買う側、それぞれ違う立場の間に立って、「こうすればもっと商品の良さが伝わりますよ」と提案するのが、私たちの大きな役割だと思います。

大切なのは好奇心、苦手科目のない人が活躍できる

 この仕事には、「好奇心の塊」のような人が向いていると感じますね。新聞やニュースをチェックするのはもちろん、話題のスポットには足を運んでみたり、話題の映画は必ず観るようにしたり、普段から自然に情報を取り入れることが好きな人が向いているかもしれません。私自身も、食品メーカーを担当すれば、スーパーに行くと商品がどのように並べられ、売られているかをチェックしてしまいます。そういうことを意識して行うのではなく、「(自分で)見たいから見る」という姿勢が求められます。

 それを学校の成績になぞらえるならば、「苦手科目がないタイプ」が向いているかもしれません。例えば、食品会社のお客様から「今だったらどんな新商品が売れると思うか」と聞かれたとします。するとすぐに、最近の市場の分析から生活者の食の好みまでを調査し、新商品のコンセプトの立案、商品名からパッケージの制作、キャンペーンの戦略までを短期間で作ってご提案する必要があるのです。それだけに、どんな分野の商品であろうと、また営業職であろうとマーケティング職であろうと、一人ひとりが問題意識を持って豊富な知識や好奇心を持っておく必要があります。全部が得意科目でなくても良いですが、苦手な分野を持っていないことが幅広く活躍できる鍵なのではないでしょうか。

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。
東京大学に関連した職業はこちら!
東京大学 理学部 卒業
研究者
唯 美津木 氏
東京大学 教養学部 卒業
データサイエンティスト
那珂 将人 氏
東京大学 医学部 卒業
精神科医
和田 秀樹 氏
東京大学 工学部 航空宇宙工学科 卒業
大学教授
吉田 直紀 氏
東京大学 経済学部 卒業
学校運営
篠崎 高雅 氏
東京大学 教養学部 卒業
データサイエンティスト
西岡 賢一郎 氏

	
マスコミ・芸能に関連した職業はこちら!
京都大学 経済学部 卒業
編集者
山川 龍雄 氏
一橋大学 社会学部 卒業
編成部記者
菅谷 一弘 氏
慶應義塾大学 経済学部 卒業
コピーライター
阿部 広太郎 氏
一橋大学 商学部 卒業
CMプランナー
笹川 真 氏
早稲田大学 政治経済学部 卒業
アナウンサー
三宅 民夫 氏
明治学院大学 経済学部 商学科(現・経営学科) 卒業
メディア事業開発
大石 英司 氏