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自動車
上智大学 外国語学部 フランス語学科
日産自動車株式会社 ダイバーシティディベロップメントオフィス
小林 実帆子 (こばやし みほこ)氏

2007年12月東進タイムズ掲載

互いに認め合う土壌を整えて多様な人財が活躍できる環境をつくりたい

違いを活かし合うのがダイバーシティ

 自動車会社の仕事は開発や生産、商品企画、営業など多岐に渡りますが、人事や広報、法務など、より魅力的な製品を生み出すために環境づくりの仕事も多くあります。その中で私は「ダイバーシティディベロップメントオフィス」という部署に所属し、多様な社員が活躍できる環境を提案して推進することで会社全体の成長を促し、多様化し、高まるお客様のニーズに応えることを目的としています。

 「ダイバーシティ」という言葉はあまり耳慣れない言葉かもしれませんが、日本語にすると「多様性」を指し、社員の性別や年齢、国籍、さらにはそれぞれの個性や価値観などの多様性を理解し、受け入れることで大きな価値を生み出そうという考え方のことです。

 例えば何か新しいアイディアを考えるときに、性格や考え方、育った環境の似た10人が集まって話し合いをするよりも、全く違う個性の10人が集まってディスカッションしたほうが多様なアイディアが集まりますよね。それがダイバーシティを推進する本質なんです。1+1の答えを、3以上にする人財の多様性を企業の強みとさせるのです。

 現在取り組んでいる具体的な二つの取り組みは「女性社員の能力活用」と、国籍や育った国の違いからくる「文化」の違いを活かす「カルチャーダイバーシティ」です。日産はフランスの自動車会社・ルノー社と提携関係を結んでいますので、社内ではフランス人スタッフが多く活躍しています。日本人とフランス人がディスカッションを行うと、文化の違いによる認識の違いが発生することがあります。

 例えば、日本人は傾向として、最終期限を初めに決め、それに間に合うように段取りよく進めることが得意ですが、フランス人はコンセプトを決定するための議論を最重視し、時間をかけて納得するまで会議を行う傾向にあります。お互いの強みから学びあえば、組織として強くなれますよね。社内専用のウェブサイト「ダイバーシティ・サイト」で異文化の違いによる悩みの事例紹介や、互いの文化を理解するための座談会の様子を紹介するなどして、文化の違いを知り、受け入れることで新たな価値を見出すようフォローしていく、それが私の仕事です。

「女性社員の能力活用」が経営力アップにつながる

 入社してすぐに、クルマ作りに必要な部品を手配する購買部門に配属されました。自動車部品を買うバイヤーという業務はグローバルな仕事で、多様な人と出会うことができます。その中で多様な価値観や文化の違いに興味を持つようになりました。ちょうどそのころ多様な社員の力を活かすためにダイバーシティディベロップメントオフィスが設立され、ダイバーシティの第一ステップとして社内の女性の活躍を支援する部署ができると耳にしたのです。自分自身が女性であることでも興味をひかれ、自ら手を上げました。

 念願叶って新部署の一員になることができた喜びも束の間、新しい試みに取り組むにあたって、まず自分が何をすればよいのかということさえわかりませんでした。また、「女性の能力活用」に対する社内の反応も「何のために?」

 「女性ばかりが好待遇になるのなら、男性への逆差別だ」と、男性はもちろん女性からも反発の声が多かったんです。
しかし「女性社員の能力活用」や「女性が働きやすい環境づくり」の背景には、女性の視点に立った商品開発やサービスを向上させること、すなわち経営力アップにつながるという考えもあります。現在、日本の自動車市場では女性の購入者が増えていることに加え、調査により男性がクルマを購入する際の意思決定は、特に奥さんなど女性の意見が大きく影響していることがわかっています。ですから、女性のお客様のニーズにより応えるという意味でも、女性が社内で活躍できるかどうかは経営課題でもあるのです。

 一対一の面談を通じて社員の気持ちを汲み上げながら、少しずつ手探りで進めていきました。女性のキャリアアップを考えるため、外部から講師を招いての意識改革を目的としたセミナーでは、毎回アンケートを実施し、意見を次回に活かすということを続けました。

 そこでのアンケート結果や、社内ウェブサイトに寄せられた意見やアンケートをもとに「こんなイベントや制度があればよいのでは」と自ら現状を調査して企画を考えています。

会社とともに自身も成長し続けたい

 ダイバーシティの「個人の違いが価値を生み出す」という考え方は、私自身も共感しています。ですから、共感する想いを社内に広めていけるこの仕事に、とてもやりがいを感じています。部署設立から3年経った今、ダイバーシティに対する社員の反応が目に見えて変わったと実感しています。今ではこちらから働きかけるだけでなく、相談を持ちかけられることも増えました。また、「ダイバーシティ・サイト」や私の配信したメールマガジンなどの記事を読んだ方から、「おもしろかった」「参考になった」とメールをいただくときは続けていてよかったと感じる瞬間ですね。

 そして今は、次へのステップの時期です。開発やマーケティングなどの現場では、多様性を活かした価値向上のためには具体的にどうすればいいのか、より新しい価値を生み出すための具体的な打開策を模索しています。異なる者同士が出会うと良いものができることは理解できても、時間やお金の制限がある中でどう自分の仕事に活かすのかはとても難しいですが、日産はチャレンジしています。

 将来的には、ダイバーシティの考え方が社員全員に浸透し、実際の業務に反映できるようにしていきたいですね。多様性が浸透し、当たり前になれば、個人が尊重されることで誰にとっても働きやすい職場になるのは間違いありません。今後、経営戦略としてさらに機能していけば、全社員の幸せにもつながると確信しています。そのために、日々自分自身が成長を続けていきたいと思います。

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。
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