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銀行
東京大学経済学部
みずほ銀行 吉祥寺支店 支店長
落合 悟 (おちあい さとる)氏

2008年01月東進タイムズ掲載

誠意を持ってお客様一人ひとりと向き合い、 生活の基盤を支える金融のパートナーを目指す

行員の働きやすい環境をつくり、お客様のご要望にお応えするのが支店長の仕事

 現代日本の社会生活において、お金は必要不可欠な存在です。私たち銀行員の仕事は、個人はもちろん、企業や公共団体などさまざまなお客様の「お金に関するご要望にお応えする」ことです。

 お金に関するお客様のニーズを突き詰めていくと、結局、「お金を預かって運用してほしい(資産運用)」「お金を貸してほしい(融資)」「このお金を○○へ届けてほしい(送金や決済※1)」の三つに集約されていくのですが、具体的なニーズはさまざまです。例えば企業の場合「マレーシアに自社の工場を建てたいので、計画の進め方を教えてほしい」「自社のある事業部門を丸ごと買ってくれる会社を探してほしい」などにも広がっていきます。

 お客様からのこのようなニーズに接したとき、個人、法人のお客様どちらの場合でもまずは支店の担当者が提案を考えます。支店長の私の仕事は、担当者が考えた提案にアドバイスをして最終結論を出すことです。判断の過程で本部にアドバイスを求めることもありますし、私が直接お客様のところへ伺うこともあります。また、グループ各社のみずほコーポレート銀行やみずほ信託銀行との連携を調整して業務を束ねるのも支店長の役割です。

※1
送金……金銭を送ること。ここでは、銀行のネットワークを通じて資金をある場所からある場所へ移動させる業務を指す。
決済……購入したものや、受けたサービスの価格を請求先に正しく支払って、取引を正しく終了させること。

7年越しの再開発プロジェクト

 現在の支店を任される前に、営業や人事の業務も経験してきましたが、中でも印象に残っているのは、みずほコーポレート銀行の新宿営業部にいた当時の仕事です。

 私は東京・六本木の旧防衛庁跡地の再開発プロジェクトの担当でした。この跡地が2007年3月にオープンした複合施設「東京ミッドタウン」となるのですが、計画が立ち上がったのはオープンする7年前のことでした。旧防衛庁跡地を取得して新しい街づくりをするために、開発を手掛ける企業は多額の資金調達を必要としていました。何せ、六本木という集客力のある街にあり、都心であるにもかかわらず緑の多い公園を含んだ面積は約10ヘクタールです。「東京でこのような大規模で魅力的な不動産はもうここが最後ではないか」とも言われていました。

 そこで、私たちを含め複数の金融機関が、資金調達方法の提案に名乗りを挙げました。こういった場合はコンペティション形式といわれる方法をとり、金融機関各社が提案したものの中からお客様が一番良いと思う提案が採用されるのです。このコンペティション方式を取るときに一番難しいことは、お客様から「(提案の)ここを修正すれば採用したい」「これよりもこういう提案がほしい」というような具体的なヒントをもらうことはできないことなんです。通常の場合、お客様の要望についてじっくりと相談しながら何度も案を練り直し、最終的な案に仕上げていくのですが、この形式は最終決断が下されるまで結果が全く見えません。当然、どの金融機関にとってもこの案件を任されるかどうかは、今後のビジネスチャンスを考えれば、天と地ほどの開きがあるのです。各金融機関が凌ぎを削って、熾烈な提案合戦となりました。

 私たちは不動産ファイナンスなど多くの専門部署と協力し、みずほグループ内の総力を結集して「東京ミッドタウン」という新たな街づくりの計画に見合った、資金の調達計画の立案に取り組みました。大きなグループの一員であることは、大きな力を背に受けられるということですが、同時に、それだけ多くの人の期待を受けるということでもあるのです。目標を達成したい気持ちと心地よいプレッシャーを常に感じながらの仕事でした。

 そしてとうとう、私たちの提案が受け入れられて「お願いしたい」というお言葉を頂戴したときは、グループ全体の力を評価していただいたことが心の底から嬉しかったですね。振り返ると、7年にも及ぶ一大プロジェクトに関われたことは、私自身とてもいい経験になりました。何より、私自身も「東京ミッドタウン」の、広大な緑の上で生まれる新しい価値観を追い求める「ダイバーシティ(多様性)・オン・ザ・グリーン」というコンセプトを素晴らしいものだと思っていましたので、資金面からお客様をバックアップすることができた喜びはひとしおでした。

 このように、営業を担当していた頃も支店長になった今も、お客様のお役に立てたと実感できることが、この仕事の一番の醍醐味ですね。

変化の激しい金融業界変わらないのは「お客様第一の気持ち」

 銀行員にとって最も大切なことは、「お客様第一の気持ち」ではないでしょうか。「お客様第一の気持ち」と言っても、お客様の要望をすべて受け入れ、迎合するという意味ではありません。まずはお客様が何を望んでいるか、どんな価値観をお持ちなのかを徹底的に知ることです。そのうえで、ニーズを汲み取り、こちらができるベストの提案をしていく。そのような姿勢でお客様と対話することで、「お客様が真に望む提案と対応」が可能になるのです。

 あらゆる業界の中でも、特に金融は変化が激しい世界であるといわれています。ですから、金融に関する知識やノウハウを勉強し、常にスキルアップする必要がありますね。たとえば、どんな金融のプロであっても、10年後の金融業界の姿を予想することは難しいでしょう。ですから、常に新しい知識やノウハウを得ることに意欲的な人には向いている仕事ではないでしょうか。

 銀行など金融機関に少しでも興味のある高校生の皆さんは、学生時代は大いに勉強して見聞を広げてください。そして、社会に出る前には、学生時代に「何を学び」「社会に対してどう役立てていけるか」「銀行業務のこの部分に活かせるのではないか」と自分でしっかり考え、自分の言葉で表現できる人になってほしいですね。

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。
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