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通信
早稲田大学大学院 理工学研究科 電子情報通信学 専攻
ソフトバンク リブラ株式会社 代表取締役社長
田辺 顕能 (たなべ あきよし)氏

2009年04月東進タイムズ掲載

プロジェクトマネージャーに求められるのは気配りとコミュニケーション能力

私は現在、ソフトバンクのグループ会社であるソフトバンク リブラ株式会社の代表取締役社長として、日々さまざまな業務を行っています。

高校生の皆さんはIT企業の社長というと、会社員を辞めて独立したのち新たに会社を設立するというイメージがあるかもしれません。しかし私の場合は、入社7年目に上司に提案した事業計画が評価され、子会社の設立に至りました。そのため、今なおソフトバンクグループ(ソフトバンクモバイル、ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコム)に在籍して、技術企画統括部という部署の部長職も兼任しています。

会社設立前は、ソフトバンクの一社員としてプロジェクトマネージャーの仕事に携わっていました。プロジェクトマネージャーとは、さまざまな社内プロジェクトの運営責任者のこと。プロジェクトの企画・提案や、プロジェクトメンバーの指名、社内調整、リスク管理など、すべての進行管理業務を行います。

プロジェクトマネージャーとして最も大切なことは、言葉の選び方や使い方、相手に対しての気遣いです。多くの人と関わる仕事ですから、説明の仕方が不十分だったり、情報を伝えきれていないと、判断を間違えたり、プロジェクトが停滞してしまいます。定められた期日までに目標を達成するためにも、「この立場の人にはどんな伝え方が効果的か?」を常に考えて気を配っています。こういう対人能力は、大学時代にたくさん経験したアルバイトで培われました。

社運をかけた一大プロジェクトに入社2年目で立候補

これまでの仕事でいちばん印象に残っているのは、ブロードバンドサービス「Yahoo! BB」の立ち上げに関わったことです。ソフトバンクの社運をかけたプロジェクトであり、ぜひ参加したいと立候補しました。当時の私は入社2年目で、ADSL設計のプロジェクトマネージャーとして多忙な毎日を送っていましたが、つらいと感じたことは一度もありません。

ビルの一室で、最初は50人でスタートしたプロジェクトでしたが、だんだん人数が増え、途中からは600人の大所帯となって作業をしていました。まるで合宿所みたいな雰囲気で、孫社長も「今はここが社長室だ!」と、私たちと同じ空間で毎日一緒に作業していました。たまに社長とスタッフ一同で焼肉を食べに行くなど、連帯感がありましたね。

2001年秋に「Yahoo!BB」のサービスを開始したのですが、その後も次から次へと課題が押し寄せ、達成感にひたる余裕はありませんでした。例えるなら、1万件くらい取り組まなければならない事柄があるのに、そのうちの100件しか消化できていない状態。常に忙しく動き回っていました。それでも途中からは一件一件課題をこなしていくことに快感を覚えるようになり、翌年にユーザー数が100万人を突破したときに、ようやく一息ついたという感覚でした。

この経験から学んだのは、プロジェクトマネージャーには「とりあえず進めていく」という姿勢も大事だということです。「完璧を求めて、安定したサービスを追求する」ことにこだわりすぎると、いつまで経ってもサービスは開始できません。8割を完璧に仕上げ、あとから全力で補正するようなバランス感覚が必要だと理解することができました。

目の前のハードルを一つひとつ地道にクリアすることが目標達成につながる

2007年6月に設立した当社では、携帯電話を使った健康管理支援事業を行っています。そもそも私が会社を設立しようと思ったのは、2006年の春に「ライフキャリア」という事業プランを思いついたのがきっかけでした。これは、血圧や血糖値などを測る医療機器と携帯電話とをつなぎ、パソコンに測定データを送信することで、簡単に日々の健康管理ができるヘルスケアサービスです。

近年、世の中は急スピードで通信インフラ※1が発達しましたが、インターネットの主流サービスというと、画像や音楽、映像配信サービスなどのアミューズメント系がメインになっています。一方、医療や健康など、私たちの生活に密着しているサービスはまだわずか。そこで、普段から自分の健康状態をチェックして「可視化」できる、ユーザーの健康維持に貢献できるサービスを作りたいと思いました。

まずは事業計画を立てて企画案をまとめ、会社に提出しました。その1年後に設立に至ったのですが、それまでにはいくつものハードルがありました。社内各署を説得してまわり、出資していただく企業と何度も話し合いを行いました。日本経団連※2でのヘルスケア事業の勉強会に参加し、他社の協力をあおいだりもしました。

いよいよ会社設立という段階になったものの土壇場でNGを出されてしまい、もうダメかと思ったこともありました。しかし、ありがたいことにその会社の一部の方々が「これは世の中のためにやるべき事業だ」と力を尽くしてくださったことで事なきを得たんです。まだ設立2年目の当社ですが、今後の目標は、よりお客様に受け入れられるような、ライフスタイルに自然に溶け込んだサービスを提供していくことです。

かつてはプロジェクトマネージャー、そして現在は経営者でもある立場として感じる仕事のやりがいは、何よりも自分が担当したサービスを世の中に残せるということ。そして、立ちはだかるいくつものハードルに対して、あらゆる戦略を練ってクリアしていく快感があることですね。

皆さんがこれから挑む大学受験もそうだと思いますが、最短距離で物事に到達しようとするよりも、やはり普段の地道な努力こそが実を結び、成果につながるのだと思います。大きい目標に向けて、まずは目の前の小さな目標や課題をコツコツと一つずつこなしていくことの大切さを日々実感しています。

※1 インフラインフラストラクチャーの略。《下部構造の意》社会的経済基盤と社会的生産基盤とを形成するものの総称。道路・港湾・河川・鉄道・通信情報施設・下水道・学校・病院・公園・公営住宅などが含まれる。

※2 日本経団連《「日本経済団体連合会」の略称》総合経済団体。経済・産業・社会労働分野について、経済界の意見をとりまとめ、政治・行政に実現を働きかけるなどの活動を行う。

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。
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