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スポーツ品メーカー
京都工芸繊維大学 工芸学部 意匠工芸科 (現・工芸科学部 造形科学域 造形工学過程)
ミズノ株式会社 ウエルネス・スポーツアパレル事業部 スイム&フィットネスマーケティング部長
内田 広 (うちだ ひろし)氏

2009年06月東進タイムズ掲載

商品が生まれ、世に出ていく過程のすべてに携わる

私の所属するマーケティング部の大きな役割は、「商品企画」「セールスプロモーション」「生産」の3つです。

一つの商品を生み出す流れを追ってみましょう。まずは「商品企画」からです。材料の研究開発や設計を担当する商品開発部と一緒に、新しくアイデアを出して商品化していきます。それを市場に出すために、適正な値段を決めて、どれだけの量を作るかというところまでまとめます。

二つ目が「セールスプロモーション」。営業や販促、広報宣伝部等と相談しながら、販売方法や宣伝計画を練ります。

最後は「生産」です。例えば、ある工場で水着を10万枚作るという計画があれば、そのための材料をどの業者から仕入れるかを決めます。また、一番良いタイミングで商品を世に出すためには、いつまでにどれだけ材料を揃えて、いつからどの工場に依頼して、どのような過程で生産を開始するかという生産計画を立てるという仕事もあります。

一つの商品を作るにあたり、どんな商品をどのように作り、いかに販売するかということまで含めて考え抜く必要があります。商品が生まれてから、世に出て行くまでの過程にすべて携わっているのがマーケティングの仕事といえるでしょう。

自ら求め、行動して掴みとった「好き」を活かせる仕事との出会い

私の世代は、『巨人の星』や『明日のジョー』『エースを狙え』などのいわゆる“スポーツ根性もの”の漫画が流行していた世代です。その影響を多分に受け、幼少の頃からスキー・野球・サッカー・硬式テニスに取り組んでいた私にとって、スポーツは身近な存在でしたね。

高校時代、進路選びのときのことです。将来は、自動車などの設計デザインの仕事に就きたいと思っていたので、迷わず工業デザインを学べる大学を選びました。大学の講義は思い描いていた以上に興味深く、充実した毎日を送ることができました。

将来はこの学びを活かして、当時最も華やかだった自動車や家電関係の企業に就職しようと思っていた矢先、ミズノに就職した先輩に偶然話を聞く機会がありました。そこで突然ひらめいたのです。これまで勉強してきたことを、スポーツという自分の好きな分野で活かせる仕事があった! と。

ミズノに入社後、商品を生み出すためにはアイくてはならなくなったのです。ただ、そうやって多少行きづまったときも、常に「自分はこういうことをしてみたい」「こういうものがあったらいいのではないか」と自ら進んで行動することを心がけました。そデアを出すだけではなく、いかに計画を練って生産し、戦略をもって販売するのかという大事なプロセスがあることを知りました。

また、スキー製品を担当していたときのことです。80年代のスキーブームをピークに、日本のスキー市場は小さくなっていきました。それとともに、ミズノとしても力を注ぐべき分野の方針を変える必要が生じ、私もスキー担当を離れることになりました。夢中で取り組んでいた仕事を離れなくてはならなくなったのです。ただ、そうやって多少行きづまったときも、常に「自分はこういうことをしてみたい」「こういうものがあったらいいのではないか」と自ら進んで行動することを心がけました。そうしていった結果、今こうして自分の取り組みたかった分野で自分の力を存分に発揮できる仕事を続けられているのだと思います。

言葉では表せないほどの感動を味わうために

昨年の北京五輪では、皆さんもご存じだと思いますが、いわゆる高速水着問題が話題になりました。ミズノの水着を着用して出場する予定だった選手が、北京五輪の本番では他社の水着を着用して見事な結果を残しました。勝利を確実なものにするために選ばれた水着が、他社のものであったというのが紛れも無い事実です。ベストなものを、勝利を導くためのものをと考え抜いて生み出した商品が評価されなかったということですから、その悔しさは筆舌に尽くしがたいものがありました。

ただし、そのときも私にはある確信がありました。「今回はダメでも、次は絶対に取り戻せる」と。そして北京五輪での敗北の瞬間から、素材と技術を研究しつくし、選手たちの意見をヒアリングして改良を重ね、1年後に新商品が出来上がりました。今年4月に行われた日本選手権でその水着を着用した選手たちにより、日本新記録が3つ樹立されたのです。ようやく少しほっとしましたが、ここでとどまるわけにはいきません。

たった1点、たった0.01秒を争う勝負の世界で生きる商品を扱いますので、非常に厳しい競争を強いられます。ですから敗北を味わえば、より「勝ちたい」気持ちが強くなり、それが商品企画の原動力になるのです。スポーツは、人間の活動の原点、本質に触れるものだと思うんです。人間が身につけて、動いたり、勝負したりする。だからこそスポーツ品は、単なる道具ではない。イチロー選手のような一流の選手ほど、バットやグラブに対する思いは半端なものではありません。そういうものを生み出す一端を担っていることが、この仕事の魅力ですね。

それにあるとき、とんでもない感動に出会えることもスポーツの魅力の一つです。五輪や世界の大舞台で選手の勝利の瞬間に立ち会えるときは、それがたとえ自社製品であろうとなかろうと、言葉では表せないほどの感動が押し寄せるものです。その感動を、もの作りを通して味わえる。それがスポーツメーカーの仕事の醍醐味ですね。

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。

	
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