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銀行
早稲田大学 法学部
株式会社三井住友銀行 吉祥寺法人営業部長
寄高 由季子 (よりたか ゆきこ)氏

2012年06月東進タイムズ掲載

性差を超えたしなやかな発想を武器に 企業の経営課題を解決する!

企業の頼れる倉庫番! 多岐にわたる法人営業の仕事とは?

 私たちの生活に密接に関わる銀行。一般になじみ深いのは支店での窓口業務だが、もちろん銀行の仕事はそれだけではない。

 「そもそも、銀行の営業には法人向けと個人向けの二種類があります。以前は、両方とも同じ部署で担当していましたが、銀行で扱う商品が多岐にわたるにつれて、一つの部署ですべてをカバーすることが難しくなってきました。ですから現在では、機能を分化して、法人と個人のお客様を担当する部署を分けているのです」

 そう語るのは、三井住友銀行吉祥寺法人営業部長の寄高由季子だ。法人営業では、企業に対する資金調達、運用商品や決済サービスの提供、海外取引支援といった仕事がメインとなる。ただし、一口に資金調達といってもその方法はさまざまだ。

 「例えば、資金調達にもいろいろな手法があります。一般的な貸出に加えて、 社債を使った私募債。あるいは、複数の金融機関が集まって融資を行うシンジケート・ローンなどもあります。私たち法人営業の仕事は、企業にとって最適な方法は何かということを考えて提案することなのです」

 また、企業同士の間を取り持ち、新たなビジネスを創出する"ビジネスマッチング"も法人営業の大事な仕事だ。銀行は多くの企業とのネットワークを持つ。そのネットワークを生かして、互いに有益となるかたちで企業を結びつける。そうすることで、お互いの企業が想像もしなかったような思わぬビジネスチャンスを生むことがある。

 例えば最近、寄高たちはあるコールセンターの受託先拡大の手助けをした。寄高の元で働く若い営業マンが担当した案件だが、もともとは三井住友銀行と取引があるわけではない。だがその担当者は足繁く通い、最適と思われる受託先を提案し続けたという。やがて、経営者の口から出たのが「ここまでやってくれるのなら……」という言葉。誠意ある仕事が評価され、そのコールセンターは三井住友銀行との取引を決めてくれ、業容拡大のきっかけを掴んだという。

毎日が経営トップとの真剣勝負 人としての信頼関係を築け!

 素人目からすると、企業はなるべく"金利の安い銀行"を選びたがるのではないかと思える。しかし寄高は「それだけで、お付き合いを始めてくれるわけではない」ときっぱりと否定する。

 「営業の基本は"人と人"との信頼関係です。相手に対してどれだけ誠意を尽くしたか。心に響く何かができたのかということが大切なのです」

 とりわけ、部長職を務める寄高が向き合うのは、ほとんどが経営者である。多くの従業員に対する責任を背負い、日々多大なプレッシャーと戦っている人々だ。それだけに、外部の人間にたやすく自社の悩みや課題を打ち明けたりはしない。

 そこで寄高はまず、業界環境や企業業績、人員構成などの客観的なデータから、企業の抱えているであろう課題を想定するのだという。「先の見えない環境の中、企業は今、さまざまな決断を迫られている場合があります。企業の再編や経営者の高齢化が進む業界内で、買収の仕掛けや不採算部門の撤収、事業継承、海外移転といった課題が挙げられます。事業継承を例に挙げても、株式を誰にどうやって移していくのか。株価はいくらで、それを動かすにあたって、税金はどれぐらいかかるのかといった問題に対して、あらゆる方向から打開策を考えます」

 こうした企業経営にかかわるすべてを想定した上で、寄高は経営者のもとへ赴く。だが決して自身の考えをすぐに押しつけたりはしない。相手の話にじっくりと耳を傾け、しっかりとした人間関係を築き上げたうえで、意見を交わす。対話を通じて「企業の課題を共に考え、解決していく」ことが、法人営業部長としての責務だと寄高は考えているからだ。 そこから寄高は、企業にとって最適と思われるプランを提案する。当然、受け入れられる場合もあれば、そうでない場合もある。

 「ですがそこで諦めずに提案を繰り返していきます。やがて本当の解決策が見つかったとき、それが当行とのビジネスにつながっていく。ですから法人営業は、ちょっと息の長い仕事なのです」

お茶汲みも絶好のビジネスチャンス! 女性総合職第一期生として入行した新人時代

 寄高は女性総合職の第一期生として同行に採用された。1987年のことである。「男女雇用機会均等法」が施行された翌年のことだ。それまで銀行の女性行員の仕事は、支店での窓口業務がメインだった。法人営業に女性が配属されることはなく、まさに「男性社会」。法律が施行されたからといって、すぐに現場の意識が変わるわけではない。当時は、行員や顧客にも「女性が来たの?」と戸惑われたという。

 そうした周囲の目を変えるには「実力をつけて、結果を出すしかない」。そう決心した寄高は、驚くべき行動に出る。「先輩が異動するたびに、担当先を"すべて私に任せてください!"と直訴したのです」

 ベテラン行員の担当先となると、そのほとんどが大きな企業だ。周りからは「新人には無理」「女性には無理」という声が、当然のように飛んだ。それでも寄高は屈しなかった。

 「自分から手を挙げた仕事は、仮に困難なことがあったとしても、口が裂けても"できません"とは言えません。"必ずやり遂げてみせる!"という責任感も湧きます。そうやって結果を出し続けていくうちに、周りからも認められるようになってきたのです」

 だからといって寄高は、男性と張り合って仕事をしていたわけではない。例えば入行当時、「お茶汲みを総合職の女性に任せてよいのか?」という議論が行内であった。"お茶汲み"といえば、女性の仕事というイメージが今でも強い。しかし総合職として採用された女性の中には、抵抗を感じる人もいたという。だが寄高は、そんなことに頓着せず、むしろ自ら進んでお茶汲みに精を出した。「来店してくださったお客様をもてなすのは当然」と考えたからだ。

 それだけではなく、お茶汲みは寄高に意外な成果をもたらしてくれた。当時、寄高の所属していた営業所の支店長は、"営業の神様"と呼ばれるほどの人物。お茶汲みは、営業の神様がどんな話をしているのかを知る、絶好のチャンスだったのだ。

 「支店長が応じるのは、とりわけ重要なお客様ばかりです。間違っても"どちら様でしょうか?"などと言ってはいけません。応接室にお茶を運ぶ際に、顔と名前をしっかりと覚える。そうすれば、次の来店時にすぐに対応できるんです」

 顧客の動向を常に把握している寄高は、やがて "情報通" として同僚たちからも頼られるようになる。お茶汲みをチャンスと捉えた、寄高の柔軟な発想が奏功した結果だった。

「女性ならではという言い方は好きじゃない」 目指すのは "私ならでは" のマネジメント

 部長職に就いて3年。「女性ならではという言い方は好きじゃない」という寄高が目指すのは、 「私ならではのマネジメント」だ。

 「私には、部下のお尻を叩いて競争させるようなやり方はできません。ですが、違うやり方はできる。それが"共存共栄"というスタイルのマネジメントです」

 シビアな営業職の世界では、チームメンバーもライバル。悪く言えば、他人を蹴落として自分だけがのし上がることを目的としてしまうこともある。だが、寄高の描く営業は違う。メンバーが互いの強みや弱みを補完しあいながら、共に伸びていくイメージだ。

 「仮に1.5の力と0.5の力を持っているメンバーがいたとします。彼らを互いに競争させても、全体の平均は1にしかなりません。でも得意な分野をもっと伸ばしてあげて、不得意分野に関しては、ほかのメンバーでカバーしあうようにします。すると、組織としての強さは2倍にも3倍にもなるのです」

 だからといって、闘争心や競争心を否定するわけではない。例えば、以前の勤務地での寄高の部下(次長)は、まさに闘争心の塊のような人物だったという。しかし、だからこそ「非常にいい組織ができた」と、寄高は言う。チーム全体を引き締めるのは次長、それ以外の部分でのマネジメントは寄高が行う、という役割分担が明確になったからだ。結果的に、いい意味での競争心と共存心とが、バランスよく生じたのである。

 入行以来、事業調査部や審査部、法人融資部といった部署で、スペシャリストとして専門性を磨いてきた経験も持つ寄高。一方で法人営業の現場では、より幅広い知識が求められる。つまり、優れた「ジェネラリスト」でなければならない。

 「スペシャリティーを持ったジェネラリストであることが、私の目指してきた道でした。そうした目標を叶えられるようなキャリアを積んでこられたことは、幸せだと思っています」

 「私ならではのマネジメント」を武器に、寄高は今日も、金融の最前線に新風を送り続けている。

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。
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