全国172の大学情報を掲載!志望校選びに役立つ情報・卒業生や現役大学生の“ナマの声”満載!

ソフトウェア開発
専門学校 ヒューマンクリエイティブスクール
株式会社ソース(現・ソースネクスト株式会社)
井上 達也 (いのうえ たつや)氏

2010年12月東進タイムズ掲載

老若男女、誰もが使いやすく楽しめるソフトとは? 飽くなき追求心がヒットを生む

独学でプログラミングを学び続けた子ども時代

 「超字幕」のユーザーインターフェイスの開発を手掛けた井上達也が、初めてプログラミングのおもしろさに触れたのは小学4年生のときだった。時代は1980年代。パソコンがまだ「マイコン」と呼ばれていたころである。たまたま訪れたデパートで、井上は子ども向けのパソコンに出会う。「自分でプログラムコードを書けば、なんでもできてしまう。これは衝撃でした」

 もともとモノづくりが好きだった井上は、ゲームで遊ぶよりも「絵を描くソフト」を作りあげることに夢中になった。今でこそ、マウスで画面をなぞれば簡単に線を引くことができるが、当時のパソコンでは、一本の線を引くのでさえ、プログラムコードを書く必要があった。自分の思う通りの線を引くためには、「点」の位置や「色」などを地道に指定していかなければならなかったのである。

 「方眼紙を買ってきて、そこに絵を描いて座標を確認していました。どうやったら、少ない行数で効率的にプログラムを書けるかということも考えていました」

 中学、高校もプログラミングに没頭する毎日だった。まだインターネットもない時代。独学でプログラミングを習得するためには、パソコン雑誌が唯一の貴重な情報源だった。そこに掲載されていたサンプルコードを打ち込んでは、自分のマシンで走らせてみる。それが楽しかった。

 しかし井上は、徐々にそれだけでは満足できなくなる。そこで、ほかの機種用のプログラムを自分のマシンでも動くように改良するようになった。こうした好奇心と努力の積み重ねが、プログラミング言語への理解を深める礎となる。「中学生のころにはもうプログラマーになると決めていました」という井上は、驚くべきことに「どんなソフトを作るか」ということもすでに決めていたという。

 「老若男女を問わず、誰もが簡単に扱えて、家庭で楽しめるソフトを開発すること。それが夢でした」

わずか一週間!「超字幕」の試作品を急いで仕上げた理由とは?

 「超字幕」もまた、「使いやすさ」という井上のポリシーをとことん追求したものだ。どんなに優れたソフトでも、操作が複雑すぎたり、わかりにくかったりすると十分に機能を発揮することができない。井上が設計を手掛けるユーザーインターフェイスとは、文字通りユーザーとプログラムとのあいだをスムーズに橋渡しするための窓口である。それだけに最も気を配るところなのだ。

 「開発初期の段階に『このソフトはどんな人がどんな用途で使うか』を想像し、ユーザーシナリオを設定します。そこでどんな機能が一番求められているのか、ということを徹底的に洗い出していきます。そこがずれてしまうと、まったく役に立たない製品になってしまうからです」

 「超字幕」の場合、プロジェクトのスタートからわずか一週間で製品版に近い形の試作品を作りあげた。プログラマーとしての並々ならぬ力量を感じさせるエピソードだが、そこにはビジネスを成功に導くための企業人としてのこだわりもある。提携先の映画会社へのプレゼンテーションの場で、どうしても実物を見てもらいたかったのだ。

 「そうすると相手も感動すると思ったのです。『え? もう作ってくれたの』という風に。こちらの本気を態度で示したかったんです」

 その気迫が通じ、井上が作りあげた試作品はその場でゴーサインが出た。ほぼ完成形に近かったものに、実際のユーザーの声を反映させながら、さらなるブラッシュアップを重ねて、「超字幕」は発売の日を迎えた。プレゼンからわずか三カ月というスピード開発だった。

 そんな井上に、仕事をしていくうえで求められる力を問うと「必要なものと不要なものを選択する力」という答えが返ってきた。さらに、どんな考え方の人財がこの仕事に向いているかを聞いてみた。

 「どんなにダメだと思えるようなものも、どうしたら良くなるんだろうかと考えてみることのできる人でしょうか。そう考えられたら、あらゆる仕事が楽しくなると思います」

 そこには、独学でプログラムの改良にいそしんでいた子ども時代と変わらぬ井上の姿があった。

(文中敬称略)

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。

	
IT・コンピュータに関連した職業はこちら!
成蹊大学 工学部(現・理工学部) 卒業
印刷会社 デジタルコンテンツ開発
野阪 知新 氏
愛知学院大学 心理学部 卒業
ウェブプロデューサー
生駒 里美 氏
明治大学 政治経済学部 卒業
印刷会社 デジタルコンテンツ開発
追木 浩二 氏
武蔵工業大学(現東京都市大学) 工学部 機械工学科 卒業
通信
大道 伸 氏
駒澤大学 文学部 歴史学科 卒業
通信
高橋 政彦 氏
早稲田大学 人間科学部 卒業
ウェブコンサルタント
七宮 雄祐 氏