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パッケージ開発
北海道大学 理学部 化学第二学科(現・化学科)
凸版印刷株式会社 生活環境事業本部 生活環境製造事業部 技術開発本部 商品開発部 課長
栄 賢治 (さかえ けんじ)氏

2010年01月東進タイムズ掲載

「モノづくり」の原点は実際に見て・触ること

人々の生活に密着している「モノ」をつくることの魅力

 私が凸版印刷に入社したきっかけは、化学を専攻していた大学時代のある日、凸版印刷で技術開発の仕事をしている先輩が研究室にやって来て、印刷会社の事業内容を話してくれたことでした。当時は、「印刷会社といえば雑誌や本を扱う仕事をするのだろう」というぐらいにしか認識していませんでした。けれども先輩の話を聞くうちに、「生活に身近な飲料パックや洗剤のボトルも扱っているんだ」というように、身の回りにある多くのモノに関わる仕事であることを知りました。しかも分野の違う製品を設計から製造まで手がけており、一つひとつにさまざまな工夫がなされている奥の深さを感じました。なぜ洗剤のボトルは濡れた手で持ってもすべらないのか、なぜガムの包装紙はあの形状なのか…普段何気なく触れているモノにも、多くの人の知恵がつまっていると思うと、非常に強い興味がわきました。

 化学という学問は「モノづくり」の基礎ですから、将来「モノづくり」に関わりたいという気持ちは強くありましたし、生活に密着しているモノをつくるという点にもひかれました。誰もが使っている身近なモノだけれど、その舞台裏はよく知られていない。しかも、実はいろいろな歴史や工夫があって、私たちの生活に役立っているという点に魅力を感じましたね。

 今でも、「出来上がった製品に対するお客さまの反応はどうだろう?」と思い、自分が開発した製品をスーパーなどでチェックしています。買い物をしているお客さまが、その製品を手に取って、さらにカゴに入れてくれた瞬間は、思わず飛び出していって握手をしたくなってしまうんです(笑)。

現地に赴かなければわからない海外の製品パッケージ事情

 2007年から2年間、凸版印刷のインドネシア工場に品質保証・技術担当として赴任しました。現地での生活を通じて日本の一般消費者や技術者の視点で文化や考え方の違いを見ることができ、とても貴重な経験をしました。例えば日本では当たり前のように目にするボトル入りのシャンプーは、インドネシアの人々にとって高価な商品として認識されています。そのため、シャンプーといえば、1回分ずつ小袋に分けられたものが何連も連なって売られており、それを切り取って使うのが一般的です。また、薬は何十錠も入った箱で売られているのではなく、必要な数だけ錠剤がパックされているものを買います。そのため単価が安く、簡単な包装が主流ですが、中身を保護するためにもパッケージを省略することはできないので、さまざまな工夫が必要とされています。

 そのほか、食文化の違いも包装に関わってきます。インドネシアは油料理が多いため、日本よりも油の消費量が多く、2リットル入りが主流で、パッケージは高価なボトルやビンではなく、プラスチックの袋で販売されています。2リットルの油が入るパッケージですので、漏れたり破れたりしないよう、細心の注意を払って設計しました。

 海外市場向けの製品を海外の工場で開発する場合、実際に現地に足を踏み入れなければわからないことがたくさんあります。日本の技術を伝授するだけでなく、現地の人々の意見や知識を生かすことで、その国ならではの技術を開発することができ、モノづくりの幅が広がるのではないかと思います。

チャンスは与えられるものではなく自分で探してつかみ取るもの

 海外赴任したことで感じるのは、やはり現場に行き、実際に見て、触って確かめて、初めて「モノづくり」ができるということです。そのため、さまざまな人々とのコミュニケーションが重要となります。人とのつながりや、そこで培った経験は必ず仕事をする上での糧になります。学校や仕事のどのような場面でも、自分の考えをきちんと言葉にして伝えることが大切です。ゆっくりで良いので、その理由もきちんと自分の言葉で相手に伝え、理解してもらうことが大切なんです。

 そして、とにかく何にでも興味を持つということをおすすめします。積極的に異文化に接すれば、世界の中の日本のポジションや、自分のアイデンティティーを見つめ直す機会にもなります。海外旅行や留学、日本にいても留学生との交流など、異文化に触れるチャンスはたくさんあるはずなので、積極的に活用してほしいと思います。

 現代は、欲しいものが何でも簡単に手に入る世の中かもしれません。でもそれを当たり前だと思わないで、自ら興味を持ったことに積極的に行動して欲しいですね。与えられるのを待つのではなく、自分で探してつかみ取る、ということにぜひ貪欲にチャレンジしてほしいと思います。

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。

	
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