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意匠建築士
日本大学 理工学部 建築学科
株式会社 梓設計 設計部 主幹 一級建築士 田村スタジオ・サブリーダー
外山 博文 (とやま ひろふみ)氏

2015年04月東進タイムズ掲載

手がけるのはトップスイマーが泳ぐ競技用プール リオ五輪でのメダル獲得をバックアップする!

プールに木材!?プール設計は〝水〞との戦い一級建築士300名あまりを擁する梓設計は、とりわけ国内空港の設計でトップシェアを誇るリーディングカンパニーだ。創業者の清田文永は、日本航空の前身である大日本航空勤務の後、昭和21年(1946年)に同社を設立。わが国の空港設計の草分けとして、幾多のプロジェクトに携わってきた。現在では空港のみならず、美術館や博物館、病院や市庁舎など、幅広い分野で数々の実績を残している。そのなかで、スポーツ施設の設計を多く手がけてきたのが、同社で一級建築士として活躍する外山博文だ。「弊社は、長年にわたり各都道府県の主要プールを設計してきた実績をもっています。それで私も入社してすぐにプールの設計に携わるようになり、現在もスポーツ関連施設の設計をメインに行っています」プール設計の場合に、まず気を遣うのは使用者の安全性。老若男女がスイムウェアで過ごす空間であるため、床を滑りにくくすることはもちろん、壁なども突起物や角のないように設計しなければならない。また、水を多く使う施設であるため「結露」にも気を遣う。水分が建物自体を傷めてしまうからだ。しかし外山は、あえて湿気を嫌う木材をふんだんに使ったプールを設計したことがある。二年前に完成した和歌山県秋葉山公園県民水泳場だ。「この施設の特徴は、外壁や軒、屋内プールの屋根に和歌山県産の杉をふんだんに使っている点です。骨格となる構造部材には、紀州材の集成材と鉄による木質ハイブリッド構造を採用しています。結露や湿気に対しては、空調を緻密に計算して調整できるようにしたり、特殊な防腐加工を二重三重に行いました」完成したプールは、環境に優しく、かつ、地場産材を使用することで地域の活性化にもつながるものとなった。和歌山の豊かな自然と調和した〝樹林の中のプール〞は、地域の人たちの憩いの空間として愛されている。数百枚の設計図を描きながら納期厳守で仕事を進める外山は絵が好きな子どもだった。高校時代は機械科で製図を学び、実際にボルトやナットを削り出したりした。あるいは、自動車整備の実習を受けたこともある。そうした勉強のなかで、やがてデザインの仕事に興味を持つ。そこで大学の建築学科を志望。ところが、入試課題には「鉛筆デッサン」とある。美術を学んだ経験のない外山は、はたと困ってしまった。「そこで、別の学校で美術部に在籍している友人のところへ通うことにしました。その学校の先生に手ほどきを受けたり、あとは、自分の学校の美術室に居残って猛特訓。設計をするにあたって、デッサンはとても重要なんです。今でも仕事に取りかかるときは、必ずデッサンから始めます」こうして理工学部建築学科に合格。卒業後に梓設計に入社した。「入社して初めて手がけたのは、ホテルのチャペルでした。プールの設計と比べると機能的な面での難易度は低いのですが、初めてですから右も左もわかりません」それでも外山は、施主であるホテル側の意向を考えつつ、自分のやりたいデザインを形にした。チャペルというと左右対称のつくりが一般的だが、あえて左右非対称にし、十字架にも工夫を凝らした。「入社一年目で、自分のデザインがほぼそのままのかたちで通ったというのは、とても幸運でした」と、外山は振り返る。しかし駆け出し時代には、時間のコントロールがうまくできずに悩まされた。数百枚の設計図が必要な設計の仕事は、時間との戦いでもある。たとえ間に合ったとしても、内容に不備があっては元も子もない。かといって、時間をかけ過ぎても周りに多大な迷惑をかける。「設計の段階で不具合があると、当然ですがそれが現場にまで影響します。何が重要かという見極めとメリハリをつけること。それが時間をコントロールするためのポイントです。また、設計をしていて不安を感じたら、すぐに検証する。不具合が隠れているにもかかわらず、それに気づかないほうがよほどこわいことです」トップスイマーが泳ぐ 最先端のプール設計をスタート!そんな外山が現在手がけているのが、イトマンスイミングスクールの東京強化校プールの設計である。同スクールは、ロンドン五輪で銀メダルを獲得した入江陵介選手が所属していることでも知られる(イトマン東進所属)。「今回設計しているプールは、オリンピックに向けた選手の強化プールの設計です。つまりトップアスリートのための専用施設。日本の水泳界全体のプラスになる施設ですから、とても設計のしがいがあります。滅多にないチャンスですからね」しかし、難度は極めて高い。基本となるのが、水深3メートルの競技用50メートルプールで、選手向けの食堂や寮も完備する予定だ。民間のスポーツクラブにおいて、これだけのハイスペックのプール施設はまれである。「50m国内プール公認を取得し、実際の主要競技会を開催するプールと同じ環境を創出します。また、選手のフォームを解析するためのシステムも組み込む予定です。水中を覗ける窓を作って、そこからカメラで撮影する。そうした設備は一般のプールにはありません」加えて、設計時間の問題もある。なにせ直近のオリンピックは、2016年。ブラジルのリオ五輪だ。「リオ五輪の直前キャンプで使うことが絶対条件。ですから、来春には完成させなければ意味がありません。現在は、10名ほどのチームを組んで、詳細な実設計の大詰めを迎えているところです」着工は今年(2015年)の5月。設計と工事を合わせて一年余りという時間は、あまりにも短い。しかし、外山の顔に焦りは見えない。「これまで、大きな国内大会を開催するようなプールをいくつも手がけてきています。そこで培ったノウハウを駆使して、五輪で成果の出せるプールをつくり、少しでも選手の力になりたいですね。それに、難しければ難しい設計ほど、ワクワクしてやってやろうという気持ちになります」キャリア17年の一級建築士は、力強くそう結んだ。

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。
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