全国172の大学情報を掲載!志望校選びに役立つ情報・卒業生や現役大学生の“ナマの声”満載!

教材編集者
國學院大学文学部文学科
株式会社 四谷大塚出版 編集部 国語科係長
喜多井 稔 (きたい みのる)氏

2007年01月東進タイムズ掲載

教材を通して「自ら考える力を身につける」子どもを育てたい

時代とともに変容する入試問題

 現在は、テキスト『予習シリーズ』のメンテナンスに加えて小学生が受験するテストを制作しています。通称“日曜テスト”と呼ばれる「週例テスト」で、四谷大塚のほかにも全国の提携塾の子どもたちが受験します。

 「週例テスト」は一週間で学習した内容がしっかりと理解・定着しているかどうかを測るものです。小学校4~6年生のコース別に分けて制作しているので国語だけで6種類、全科目合計22種類を毎週つくります。同時に、全国約2万人が受験する公開テスト「合不合判定テスト」の制作も行っています。

 テキストにもテストにも共通していえることですが、実際の中学入試では時代の変化や風潮をテーマにした小説や評論から出題されることが多いので、日曜テストや公開テストの制作においてもその点は注意しています。例えば、最近いじめが問題になっていますよね。そうすると実際の入試でも、いじめをテーマにした小説が問題文として取り上げられることがある。ですから、普段から出題の可能性が高そうな題材を扱うようにしています。

 最近の入試では、芥川龍之介や夏目漱石といった文豪の作品からの出題よりも、現代の若い作家の作品からの出題が多くなりつつあります。そのため、文章は会話文が多くて読みやすいのですが、結末が予想できるような物語が少ない。加えて若い作家の作品は現代の子どもの心情をよりリアルに描いているので、簡単に読み解けないこともしばしばあります。時代の移り変わりや問題をキャッチするためにも、小説やエッセイ、新書など新刊書籍のチェックは欠かせません。

好奇心から生まれた教材編集者への道

 もともと本を読むことが好きでしたので、高校の頃は文芸部に所属し、大学では文学部で現代短歌を研究しました。漠然とですが将来は国語教育に関わる仕事に就きたいと思っていました。次第に本づくりができる編集という仕事に魅力を感じるようになり、その二つがかなえられそうな四谷大塚に入社したんです。

 出版社ではなく塾の教材編集者になったのには、私自身が中学受験を経験していたからかもしれません。最高の教材を使い、最高の指導を受ければ、どんな子どもでも成績を伸ばすことができるのかということに興味がありました。その点で、四谷大塚は自社でテキストやテストを制作し、実際に子どもを指導していたので、私の好奇心に応えてくれるのではないかと考えたんです。

 毎週毎週国語だけでも6種類、全科目で22種類ものテスト教材を量産し続ける体力やシステムを持っているのは、四谷大塚出版だけだという自負があります。過去に出題された問題を使い回すことなく、毎週新しいものをリリースし続けることにやりがいと誇りを感じています。

 また、全国の小学生が受けているテストだからこそ、ミスや誤植は許されません。そのためチェック体制を万全に整備しています。編集担当者や外部校正者、各科目の講師の合計10人以上が校正を行い、間違いがないかをチェックしているんですよ。

教材を通して子どもたちに託す夢

 教材をつくるには、企画力や進行管理能力に加えて正確な校正能力、緻密さのほかに、こだわりや執着心も必要ですね。執筆を依頼した先生から原稿が提出されると、まず自分が解いてみます。そのときに「こういうところが気になった」とか「このままでは解けない」「これは別解がある」という形で問題点がないかどうか一つひとつ洗い出していきます。

 懸念点がある場合は、編集者や執筆者、先生方と協力してひとつずつ解決して正確な問題になるように修正していきます。そうして出来上がった教材について、保護者の方から「子どもがテキストに載っている小説の続きを読みたがっている」という声を頂戴して、出典をお伝えすることもあります。そんなときは受験という枠を超えて、子どもが学ぶ楽しさを発見する手助けができた喜びを感じますね。

 「自ら考える力を身につける」ということは、四谷大塚の理念でもあります。教材はそのための手段であり、中学受験は子どもにとって一つの通過点だと捉えています。私たちは、単にテストに追われたり、暗記に追われたりするような教材ではなく、自分で考える力を養うための教材づくりを目指しています。

 そのための苦労や手間暇がどんなにかかっても、将来の日本を担う子どもたちのためになるのであれば、何よりの喜びなんです。

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。

	
教育・福祉・栄養に関連した職業はこちら!
埼玉大学 教養学部 卒業
大学教授
高橋 喜幸 氏
東京大学 工学部 航空宇宙工学科 卒業
大学教授
吉田 直紀 氏
UCLA(University of California, Los Angeles) World Arts and Cultures 卒業
教育エンターテインメント
長岡 学 氏
筑波大学 第一学群 人文学類 卒業
大学教授
大西 泰斗 氏
立教大学 社会学部 社会学科 卒業
中学受験情報アナリスト
岩崎 隆義 氏
京都大学 工学部建築学科 卒業
大学教授
大窪 健之 氏