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ホテル
法政大学 文学部 英文学科
株式会社 京王プラザホテル 顧客サービス部 ゲストリレーションズ
寺本 順子 (てらもと じゅんこ)氏

2007年04月東進タイムズ掲載

お客様の喜ぶ顔が見たいから「NO」とは決して言いたくない

おいしいレストランから観光スポットまで、お客様のあらゆるご要望に応える「ホテルの顔」

 支配人、フロントクラーク、ドアパーソン、ベルパーソン、客室係、料理長、バンケットマネージャー……365日24時間営業のホテルでは、さまざまな職種の人々が働いています。そして、それらのどの仕事にも共通する目的は「お客様が心地よく過ごすためのサービスを提供する」ことです。

 私は現在ゲストリレーションズとして、ホテルにご滞在中のお客様のお問い合わせやご要望に対応しています。中でも多くを占めるのは、観光やお店に関するお問い合わせへの対応ですね。

 京王プラザホテルは外国からのお客様も多く、浅草や築地の魚市場、東京ディズニーリゾートなどの人気スポットや、ホテル近辺にある食事のおいしいお店に関する質問を頻繁に受けます。そんなときはゲストリレーションズデスクに置いてあるファイルを見ながら説明します。このファイルは私たちスタッフで手作りしたもので、「遊ぶ」「観る」「買う」などのキーワード別に主な観光地や豊富な種類のレストランのデータ・行き方などがまとめてあります。

 いつ、どのような質問にも迅速かつ的確に答えられるように、日頃から情報収集に努め、新しく登場したスポットにはできるだけ足を運ぶようにしています。やはり自分の目で確かめないと自信を持ってお薦めすることは難しいですから。

 また、ゲストリレーションズはフロントと同じように「ホテルの顔」でもありますので、たとえ気分が暗く落ち込んでいるときであっても、制服を着たら業務に集中する。自分の感情をコントロールし、常に笑顔での接客を心がけています。

「これぞ日本!」という京都の旅館はどこにある?

 ホテルは、性別・年齢・国籍の多種多様な人々が行き交う場所であり、いろいろな人と出会うことができるのも魅力のひとつですね。つい先日もこんなことがありました。オーストラリアからいらした50代の男性のお客様が、奥様と12歳の息子さんと一緒に京都を旅行したいので「これぞ日本!」というような旅館を見つけてほしいとおっしゃるのです。その方は、かつてご自身が檜風呂の完備された京都の純和風旅館に泊まった際、とても感激されたそうで、ぜひ家族にも同じ体験をさせてあげたいとのことでした。

 都内近郊のことであれば自信はありましたが、京都の旅館となるとさすがに即答することができません(笑)。けれど、旅行代理店のパンフレットを集め、インターネットで検索しながらいくつか候補をピックアップして検討を重ねた結果、イメージにピッタリの旅館を見つけることができました。数日後、京都から戻られたそのお客様から「素敵なところだったよ。紹介してくれてありがとう!」と声をかけていただいたときは嬉しかったですね。

 どんなに難しくて即答できないようなお問い合わせでも、決して「NO」と言いたくないんです。たとえお探しのものが見つからなくても、必ず「代わりにこういうものはいかがでしょうか」という代替案を提供して、お客様に納得していただけるように手を尽くします。何といってもお客様に心から満足していただけることが、この仕事の一番のやりがいですから。

マイアミ総領事館での経験から得ることのできた自信

今でこそ、どんな場面でも落ち着いて対応できるようになりましたが、最初の頃は緊張の連続でした。電話で英語が聞き取れずに頭が真っ白になり、先輩のスタッフに助けてもらったことは一度や二度ではありません。

でもあるとき、気がついたんです。こちらが不安になるとそれが相手にも伝わり、「この人に任せて大丈夫か」とお客様を不安にさせてしまう。

 入社3年目に海外派遣員としてマイアミの総領事館で勤務したことが、そのことに気がつく大きな転機となりました。

 これは、外務省の外郭団体が主催する「在外公館派遣員制度」というもので、私はマイアミの総領事館に2年間勤務しました。マイアミは中南米の中継地点にあたり、ベネズエラやキューバをはじめとする、カリブや中南米諸国の大使館員が現地で手に入らない物資の買出しに訪れます。空港でのケアや車の手配など、その方々のお世話をすることも私たちの仕事でした。

 あるとき、皇室の方がお見えになるという話がありました。南米ウルグアイで当時の紀宮様の記念切手が発行されるということで、紀宮様がいらっしゃることになりました。その準備のために半年前から綿密な打ち合わせを重ねました。例えば滞在ホテル一つとっても、外務省から「部屋の広さは○㎡くらい」「部屋の両隣にはSPが泊まれるように」、出入国の手続きでは「飛行機のタラップから降りてそのまま街中へ出られるように」と、さまざまな条件があり、それをクリアするためにこと細かくシミュレーションを重ねました。しかし、いらっしゃる直前にアメリカ同時多発テロ事件が起こり、すべてが白紙に。残念ながら実現しませんでしたが、通常は知り得ないような多くのケースを勉強でき、その後の仕事をするうえでも大きなプラスとなりました。

 それまでは、経験したことのない仕事に対して消極的になってしまうときもありましたが、マイアミの総領事館で働いた2年間の経験によって、「どんな問題やトラブルでも、チャレンジすれば大抵のことはクリアできる」という自信を得ることができました。

体験するすべてのことは学びのチャンス

 派遣員の期間を含め、仕事をするようになって今年で9年目になりますが、接客というのは実に奥の深い仕事だと実感しています。

 皆さんの中にもし、将来ホテルで働いてみたいという人がいたら、日頃から「相手の立場になって考える練習」をすると役に立つかもしれません。レストランで食事をしたり、ちょっとした買い物をするときでも「自分がお店の人だったらどうするか」を想像してみると、それまでとは違った視点から社会を見られるようになります。

 また、「気持ちの切り換えを上手にできること」も必要です。お客様一人ひとりと向き合うには自分の気持ちをコントロールし、前の仕事を引きずらないようにしなければなりません。

 そして何よりも仕事を「楽しむ」ことが大事ですね。勉強も同じだと思いますが、自分が体験するすべてのことを学びのチャンスだと捉えることで、苦手なことが苦手でなくなります。そして失敗を恐れずに、さまざまなことに挑戦し、自分を大きく成長させることができるのです。

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。
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