全国172の大学情報を掲載!志望校選びに役立つ情報・卒業生や現役大学生の“ナマの声”満載!

ソムリエ

株式会社 京王プラザホテル八王子 料飲支配人
戸辺 孝明 (とべ たかあき)氏

2007年05月東進タイムズ掲載

お客様に心から満足いただける、常にワンランク上のサービスを目指して

親子二代で喜んでくださった、20年もののワイン

 料飲部支配人を務め、統括業務を行いながら、ソムリエとしてお客様への接客やさまざまなワインフェアの企画を行っています。例えば、最近では「ホテルソムリエとワインを楽しむ会」を開催しました。この会では、フランス料理やイタリア料理はもちろんのこと、日本料理や中華料理にも合うワインを選び、一味違うワインの楽しみ方をご案内しました。これからもフェアを通して多くの方にワインの魅力を伝えて行きたいですね。

 私は、京王プラザホテルに開業時からおりますので、長年お付き合いいただいているお客様が数多くいらっしゃいます。以前ある方から、お嬢さんの結婚祝いに「娘が生まれた年のビンテージワインを探してください」というご要望がありました。20年もののワインは非常に入手困難で、それらがすべて状態のいいものとは限りません。ようやく探しあて、お出しするときに、そのワインがお嬢さんの人生と同じ20数年間、瓶の中でどう変化してきたのかを説明いたしました。話に興味深く耳を傾け、大変喜んでくださったときは嬉しかったですね。親子二代で喜んでいただけるなんて、長年この仕事をしてきてよかったと心から思いました。

 お客様との信頼関係を築くために、「付かず離れずのサービス」をモットーにしています。べったりつきすぎず、適度な距離感を保ちながら自然に接することを心掛けています。また、お客様の記念日や召し上がったものをまとめたファイルも大切にしています。ファイルを見て、お誕生日などの記念日にお手紙をお送りしたり、次回いらしたときにご提案するメニューの参考にしたりしていますね。そのファイルには、今までご来店いただいた1000人以上のお客様との思い出がつまっています。

“駆け出しソムリエ”時代の失敗から学んだこと

 30年以上も前のことになりますが、今でも忘れられない出来事があります。バーテンダーを経て、ソムリエになって間もないころの話です。「シャトーマルゴー」というワインをオーダーされたのに、間違えて「マルゴー」を出してしまうという、明らかなオーダーミスをしてしまいました。「シャトーマルゴー」は6~7万円するとても高価なワイン、「マルゴー」は5000円くらいのワインです。1桁違いますよね(笑)。お客様が「マルゴー」とおっしゃったので、まさか「シャトーマルゴー」とは思わず、確認もしませんでした。一口飲んで気がついたお客様に「人を馬鹿にしているのか! こんなものを持ってきて……責任者を呼んで来い!」と怒鳴られました。

 その後30分くらいみっちり怒られましたね。「確かに“マルゴー”とおっしゃったじゃないですか」と喉まで出かかったのですが、上司のチーフソムリエはお客様の話を最後までよく聞いて「本当に申し訳ございませんでした」と丁寧に頭を下げたのです。そのとき、ソムリエとは信頼が第一の仕事であることを強く実感しました。

 それ以来、オーダーはしっかり確認するようになりました。あまりしつこく確認するとかえって失礼になりますから、「こちら、ご注文の○○でございます」とさりげなく。それら一つひとつの対応は、経験から学べることがほとんどですね。

 また、落ち込んでいる私に、チーフソムリエが「失敗を恐れることはない」と言葉をかけてくれたことも鮮明に覚えています。その言葉に支えられて現在も、「新しい企画にチャレンジしてみよう!」「いろいろなアイデアを出してみよう!」という情熱を持って仕事に取り組めているんです。

ソムリエに求められる3つの力

 ソムリエとして、まず何よりも大切にしたいのは身だしなみです。靴はきれいに磨いておき、髪はきれいに整える。ホテルのレストランに来られる方々は、「今日は何を着て出掛けようかな」「今日は何を食べようかな」とそれぞれに夢を膨らませていらっしゃるわけですよね。そこで、私たちがだらしのない格好をしてで出迎えたらその夢をつぶしてしまうことになります。

 二番目は、仕事を楽しむこと。自分が仕事を楽しまないと、お客様も楽しい食事ができないと思います。私たちの態度は、お客様にもよく伝わるものです。

 そして三番目は観察力。つまりお客様をよく見るということです。例えば、カップルのお客様がいらして、お二人のご様子から女性の方の誕生日だということがわかるとします。私たちはすぐさま一輪のバラをご用意してお渡しするんです。頼まれたものだけを出すのではなく、どういう目的でいらっしゃったのかをよく観察し心づくしのサービスをする。そういった付加価値のあるサービスを普段から目指しています。

 ホテルパーソンを目指している高校生の皆さんには、まず礼儀を大切にしてほしいと思います。近所の方に会ったときの簡単な挨拶でもかまいません。人に会ったとき、自然に挨拶ができるような礼儀正しい大人になってください。次に、英語の勉強ですね。世界中の方々と接する機会の多いホテルパーソンにとって、英会話ができれば仕事を何倍も楽しむことができ、仕事の幅もぐんと広がりますよ。

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。

	
旅行・ホテル・レジャーに関連した職業はこちら!
横浜国立大学 経済学部 卒業
旅行会社
上田 泰志 氏
立教大学 社会学部 観光学科(現・観光学部) 卒業
ホテル
小林 正裕 氏
専修大学 経済学部 国際経済学科 卒業
旅行会社
渡邊 憲隆 氏
法政大学 経済学部 卒業
旅行会社
上野 一哉 氏
東京大学 法学部 卒業
インテリアデザイナー
小野 泰輔 氏
成蹊大学 文学部 卒業
百貨店
下福 直子 氏