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ソムリエ
日本大学 文理学部 史学科
京王プラザホテル多摩 ソムリエ
高山 勝成 (たかやま かつや)氏

2007年05月東進タイムズ掲載

お客様の雰囲気・表情・仕草から求められているものを感じ、最高のひととときを演出したい

ソムリエになって広がった世界

 現在ソムリエとして、勤務するレストランの飲料商品全般に関して、いつ、何を、どれくらい仕入れるかを決めることから、実際にお客様に提供するまでを担当しています。お客様の年齢層やご予算、その時々の料理とのバランスなどさまざまな条件を踏まえて、ワインの提供をしています。

 私は入社当時から料飲部に所属しています。ルームサービスからスタートし、レストランや宴会場でのお客様へのサービスを経験してきました。ホテルパーソンとして、お客様により質の高いサービスを提供したいと思ったことと、もともとワインに興味があったことも手伝い、4年前にソムリエの資格を取得しました。

 ソムリエは、ワインの原材料であるブドウの種類、収穫時期、産地、味、などの知識を蓄え、お客様にぴったり合ったワインを選ぶことが仕事です。事実、ソムリエの資格を取得する前と後では、今まで見えなかった部分まで見えるようになり、仕事に対する気持ちも変化していきましたね。お客様のテーブルの上に気を配るのはもちろんのこと、きちんとした知識をもとにお客様が食事を楽しむお手伝いをできるのは、私自身とてもうれしいことです。

 例えば、バターをたっぷり使ったコクのある料理の場合。そのコクに負けないような深い味わいのワインをセレクトするときもあれば、反対にサッパリと飲める酸味の強いものが合うときもあります。料理の組み合わせだけでなく、お客様の好みや体調も考慮に入れながらお薦めすることを心がけています。

 マニュアル通りではなく、お客様一人ひとりに合ったサービスを心掛けることとが重要です。例えばカップルのお客様がいらっしゃった場合、女性がお酒の弱い方だとわかれば注ぐワインの量を少なめにして、注文をいただく前にお水をさっと用意する。些細なことですが、お客様の表情や仕草から「こうしてほしい」と思っていることを感じ取って、サービスを提供することが私の役目だと思っています。

ワインにはそれぞれの物語がある

 私が初めてワインに興味を抱いたのは、ルームサービスの仕事をしていた頃でした。あるとき、1本4万するワインを飲む機会があったんです。すると、それまでは千円のワインも高価なワインも味の差なんてほとんどないだろうと勝手に思っていたのですが、実際は全然違っていました。口に含んだときの香りや、得も言われぬまろやかな舌触り、喉を通ったあとの余韻。「味に感動する」というのはこういう体験をいうのかと思いましたね。以来、ワインのこともっと知りたい、詳しく勉強してワインに関する知識を極めて、サービスに活かしたいと思い始めました。

 それからは、ワインに関する書籍を呼んで知識を蓄え、何種類ものワインを買って自宅で飲み比べました。さらにはワインと料理の組み合わせ学ぶために、レストランで勤務する傍ら、厨房でも勉強しました。やはりホテルですから、フォアグラやトリュフなどの高級食材から“海ぞうめん(ベニモズク科の紅藻)”と呼ばれる珍しいものまであって、和洋問わずあらゆる種類の料理とワインの相性を学ぶことができました。

 知れば知るほどワインの世界は奥深く、終わりがありません。また、ワインにはそれぞれ特有の物語があるといわれています。例えば世界最高峰のワインといわれるロマネコンティには1968年産のものが1本もないらしいのですが、これはその年に原材料としての合格基準に達するブドウが収穫されなかったからなんだそうです。つまりナンバー1としての誇りが納得のいかないワインを作ることを許さなかったんですね。

 このように背景にあるドラマを知り、思いを巡らすことで、舌以外でもより深く楽しめるのもワインの魅力だと思います。

レストランを出る最後の時間まで気持ちよく過ごしていただくために

 現在のセクションに配属される前は、新宿の京王プラザホテルでさまざまな仕事を経験しました。1日千人以上のお客様がいらっしゃる洋食レストランでは、いくつものテーブルを並行して担当する際、どの仕事から手をつけていいかわからずパニックなることも多々ありましたね。一度にすべてをやろうとして、結局どれもできないまま余計に訳がわからなくなるんです(笑)。さすがに今では、どんな状況でも瞬時に優先順位をつけ、素早く動けるようになりました。

 和食レストランで働いていたときに、サービスで最も大事なことの一つである「間」を学び、仕事の難しさを痛感しました。というのも、洋食は前の料理のお皿を下げてから次の料理をお出ししますが、和食ではテーブルに何も載っていない状態を避けなければいけないんです。つまり前のお皿をそのままにして、新しいお料理をお出しする段階で前のお皿を下げるんです。料理が異なればマナーも変わるので、慣れるまでは大変でしたね。

「道具」を磨いて、グレードの高い仕事を目指す

 高校時代に大切なことは「自分の好きなことをとことんやってみる」ことだと思います。私にとってそれはサッカーでした。毎日練習していたおかげで今でも体力には自信があるし、サッカーで得た集中力やチームで何かを成し遂げるためのコツは仕事に大いに役立っています。

 何がどこでどうつながるかわからないのが人生のおもしろいところ。高校生の頃は日本史の教師になりたいと思っていた私ですが、今の自分の仕事が大好きですし、誇りを持っています。先日、養護学校の生徒さんが遠足の帰りに団体でいらっしゃいました。生徒さんや引率の先生方に私どものレストランの食事を心から楽しんでいただくために、テーブル上の不要な皿はこまめに下げたり、必要に応じておしぼりを多めに用意したり、より一層細やかなサービスを心がけました。後日その生徒さんたちからお手紙をいただき、便箋いっぱいに一所懸命に書かれた感謝の言葉がつづられているのを見たら、胸がいっぱいになって涙が出てしまいました。

 また、ソムリエというのは目・耳・鼻などあらゆる器官をフル活用して取り組む仕事なんです。ワインや食材に関する豊富なデータがストックされている頭、色や熟成状態を判断する目、本来の香りかどうかをかぎ分ける鼻、口は味を識別するだけでなく、それを的確に表現してお客様に伝える役割も担います。さらにワインをグラスに注いだり、抜栓の所作が美しいことも欠かせません。体調管理に十分に気を遣い、常にベストな状態で臨むことが何より大事だと思います。

 私にとってソムリエの資格は自分が提供できるサービスの質を高める「道具」の一つです。その「道具」にさらに磨きをかけるべく、次はシニアソムリエの資格取得を目指して、お客様が食事を楽しんでいただける空間づくりのためにこれまで以上に努力していきたいと思っています。

※文中敬称略。所属・役職等は取材当時のものです。
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